安倍元首相「オリパラ反対派は反日」発言に異議あり

安倍晋三前首相は発売中の月刊誌「月刊Hanada2021年8月号」で、東京オリンピック・パラリンピックについて、「歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対している」と批判した。

安倍晋三前首相 NHKより

共産党や5月の社説で中止を求めた朝日新聞を挙げたのだ。安倍氏は五輪の意義について、「(日本人選手のメダル獲得などの)感動を共有することは日本人同士の絆を確かめ合うことになる」「自由と民主主義を奉じる日本がオリンピックを成功させることは歴史的な意味があり、日本にはその責任がある」と強調し、五輪開催を批判する野党については「彼らは、日本でオリンピックが成功することに不快感を持っているのではないか」とも述べたのである。

しかし、オリンピックに反対しているのは、左翼・リベラルだけではない。保守・右翼の人々も、一部ではあるが反対している。また、リベラル思想を持つ人々も、反日の観点から反対しているというよりは、オリンピック開催によって、国内に感染が広がったり、国外にもコロナを広めてしまう可能性があることを懸念しているように思う(もちろん、中には反日思想から反対している者もいるかもしれないが)。

まだ日本政府のコロナ対策が万全でしっかりしたものであれば、これほどの反対は起こらなかっただろうが、菅義偉首相は「安心・安全」を繰り返すのみで、国民に対するしっかりした説明をしていない。そうした不満や不安も反対運動に繋がっているのではないか。

左も右も「愛国」や「平和」の観点から、五輪開催に反対していると私は感じるのである。言うまでもないことだが、私も反日思想から五輪開催に反対しているのではないし、日本がオリンピックで成功する事に不快感を抱いているわけではない。そうした意味で、安倍前首相の五輪開催反対派への批判は一面的であろう。