地方分権と地域間格差:デジタル教育とコロナワクチン

デジタル教育と地域間格差

最近、GIGAスクールの進捗や今後について、相談されることが増えてきました。

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例えば、小中学校のクラスごとに大型モニターの配置をする予算をどうにか工面できないか、というもの。

ビジネスの現場でも、プレゼンテーションの折に資料を来場者に見せるために、持参したタブレットにつなぐ大画面モニターが用意されることがあります。

つまるところ、学校の授業もプレゼン同様、生徒に効率よく理解してもらうことが肝要ですから、タブレットを利用しての学習の折には、先生のタブレットの画面を生徒に見せながら授業をすすめるべきでしょう。

そこで教育委員会にヒアリングしたところ、現時点では大型モニターの配備台数は学校ごとにまちまちという状況とのことでした。

例えば、大型モニターを使いまわす運用をしている場合、本当はモニターを使いたい授業が2つ以上あったら、どちらか一方が利用を断念せざるをえません。

デジタル教育では、こういった設備の格差がやがて、地域間の学習進度の格差につながります。学校での運用状況を聞きつつ、できる限り速やかに全クラスに大型モニターの配備をすべきと考えています。

コロナワクチン接種と予想される地域間格差

コロナは、現在接種が進んでいます。

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有効期限について、現在は確定できるボリュームの治験データが揃ってはいませんが、例えば1年間だった場合、インフルエンザのように毎年接種する必要がでてきます。

今回は、国が全額を補助していますが、毎年国が全額補助できるとは思えません。

日本医師会のサイトによれば、ワクチン接種は1回2070円。2回の合計で約4000円です。

新型コロナウイルスワクチンの接種費用は事務費も含めて2070円に

例えば、これを国が一切補助しなければ、そのまま個人もちになる公算が高い。

そこで、市町村によっては、インフルエンザワクチンのように個別に補助することもあるでしょう。

一方、財政的に厳しい市町村は補助することができない。

来年以降は、「コロナワクチン接種に補助が多い市町村ランキング」なんて情報が、新聞記事やサイトに現れることになるように思います。

地方分権という言葉は、つまり「地方に任せる」という意味であって、個別事業を分解していくと、残酷なまでに鮮やかな地域間格差が浮き彫りになります。

現千葉県知事である熊谷氏が千葉市長になった折、政令市ワースト1位だった財政状況をまるで魔法のように立ち直らせたことが示すように、政治家の質は市町村の死活に直結します。

ことほど左様に政治家の質が地方の将来にとって益々重要になっていく一方で、先日行われた船橋市長選挙の投票率は28.1%。

政治についてあまりに無関心な私たちの日本は、いったいどこに向かっているのでしょうか。