今年こそ宿泊学習に行かせて:東京都北区子供たちの切実な声

東京都北区では、小学4・5年生で千葉県にある区の所有施設(岩井学園)での「岩井移動教室」「岩井自然体験教室」という宿泊学習を行います。

6年生では修学旅行があります。中学生においても岩井宿泊などが計画されているところです。

北区では「緊急事態宣言」と「まん延防止措置」において、これらの宿泊を伴う学習、修学旅行は一律「中止」との方針が公表されています。

しかし、「実施」や「延期」という自治体もあることから、保護者の皆様、お子さんからもご要望を多々いただいていました。

昨年はコロナの影響で、北区立小中学校の全ての宿泊学習が中止となりました。今年で2年連続の中止となり、小学校生活でとうとう岩井での学習を経験できないお子さんも出てきています。

そこで沢山のお声を受けて、私としてできるアクションは最大限とらせていただきました。区への要望、ご相談など何度も行いました。

そして、対象宿泊施設の宿泊予定が埋まっていることから、「延期」は難しいことがわかりました。

ただ、まん延防止措置下での実施については、自治体ごとに判断が分かれ、北区において実施することもできたと思っており、区の判断が残念でなりません。

子どもたちのアクション

子どもたちは、宿泊行事をとても楽しみにしています。学校でしおりや歌集の絵を描くなど準備をし、今年こそは!と、かすかな希望を抱いています。

しかし、この度の蔓延防止措置により、その希望が失われようとしています。そのことを知り、ある学校のお子さんたちが、区長に要望書を書きました。友人たちと相談し「自分たちはどう行動したら良いか?」を考えたのです。

子供達のお手紙の一部紹介

ニュースで、東京都が「まん延防止等重点措置へ移行後、飲食店での酒類の提供を認める方針を固めた」ということを知りました。

制限はあるものの、結局はお酒を飲めることにはかわりなく、それもふだん付き合いがない人たちのたくさんいる店の中で、密集するわけです。

それに、二人だけの組が何組も何組も来てしまったら、結局は密になってしまいます。こちらの方が危ないと思います。

オリンピックも開催すると聞きました。

オリンピックと岩井学習を比較してみると、どう考えてもオリンピックの方が密集します。

ここから考えると、オリンピックの方が危ないです。

岩井学習は、普段から接しているクラスメイトと行くし、公共交通機関を使わず、貸切バスを使います。向こうでもちゃんとマスクをします。

なぜ、まん延防止等重点措置下で岩井ができないのでしょうか?

(Rさんの手紙 一部抜粋)

北区長さんへ

私たちはみんな、岩井体験学習に行きたいと思っています。去年も岩井に行けず、悔しかったので今度こそ行けると信じています。

けれども、蔓延防止措置では、中止になると聞きました。

蔓延防止措置中でも行っている区や市もあるのに、どうして北区では岩井体験学習が中止になるのでしょうか?

岩井体験学習よりも、オリンピック開催の方が感染リスクが高いのに、岩井体験学習の方を中止にすることが疑問です。

みんなで一生懸命書いたバスで歌う歌集やしおりの表紙の絵などを書いて準備しています。

子どもだからといって我慢させないでください。

どうか考えを変えてください。よろしくお願いします。

(Sさんの手紙)

(※児童本人・保護者の承諾を得て転記しています)

小学生が北区長へ要望書を手渡す

子どもたちはこの要望書を北区に届けるため、引率の保護者とともに区役所へ向かいました。

そして、区長室にて区長と子どもたちとの面会が実現‼️ 子ども自身が区長にお手紙を手渡しすることができました。

区長を目の前に、お子さんは堂々と意見を述べました。

今回、子どもたちは「どうしたら行けるように考え直してもらえるだろうか?」友人たちと相談しながら、自分たちで考え、アクションを起こしました。

その真っ直ぐな想いを、少しでもサポートできたらと思いました。

結果、「中止」は変わらなかった

結果として、北区の「中止」の決断は変わりませんでした。

残念ですが自分たちの想いを直接、区長にお伝えできたことも、一生ものの経験となったと思います。

子どもたちの勇気あるアクションは、決して無駄ではなく、来年の方針を検討する際には、変更の可能性もあるのではないかと思っています。

こまざき美紀のアクション・決意

多くのお声をもとに修学旅行、岩井学習の「延期」・「まん延防止措置下で実施」とするよう
教育振興部長はじめ担当課長2名にご相談しました。

文科省の通知においても、修学旅行や宿泊を伴う体験学習等について、特段の配慮をお願いし、連続で実施できなかった学校については、改めて実施に向けた検討をお願いするよう記載があります。

また、独自調査によると世田谷区、豊島区、中野区はじめ9区では、まん延防止措置のもとであっても「実施」します。更には、日程調整や延期措置が10区以上と認識しています。

実施する自治体の方は、「普段の教室の場所が変わるだけ、何とか行かせてあげたい」とおっしゃられ、心から共感しました。

以下、ご相談に対する北区からの回答の概要3点となります。

① 岩井の宿泊学習予約が2月末まで埋まっており延期は難しい

  • 少人数実施としたため、岩井学園の予約は、5年生と中学生のイングリッシュキャンプで2月末まで埋まっている。そのため、4年生は岩井ではなく那須の区所有施設にするなど最大限調整は行った。
  • 1泊として延期という案も校長会で出されたが、これから全てのスケジュールを組み直すのは難しい。

② まん延防止措置における実施の可能性

  • まん延防止措置は、内閣官房ホームページを確認しても教育活動を直接制限するものではないという意見もわかる。
  • すでに「中止」と区で決断して公にしているため、その決断を覆すには、相当の根拠が必要となる。今現在ではその材料に乏しく「中止」は変えられない。
  • 感染状況により難しい

など。

③ 中止の際は昨年同様、日帰り代替行事を実施する。

北区の職員の皆様におかれましては、宿泊がご不安な方は「欠席」という選択肢も用意していただき、また、少人数での部屋割り、スケジュール調整等、ご尽力いただいたことに心から感謝します。

しかし、昨年度からの連続中止というのは、子どもたちの心に大きな傷が残り、来年の実施についても危機感を持っています。

「毎日学校で顔を合わせるクラスの限定的メンバーと貸切バスで宿泊する子どもたちの本当の感染リスク」

と、

「小学校生活の子どもたちの宿泊体験学習の機会を失うこと、連続中止となる精神的ダメージ」

についてよく比較検討していただき、連続「中止」とすることのないよう、重ねて要望させていただきました。

コロナ禍で子どもたちにたくさんの我慢を強いる政治、この決断もその一つと考えており、とても悔しいです。自分の力不足を痛感し、涙しました。

そして、今回の件で改めて、「子どもたちにしわ寄せがいかない政治をしていきたい、そのような決断ができる政治家でありたい」、強くそう思いました。

また、小中学生の最終学年の修学旅行は「中止」でなく、なんとか「延期」に、そして小学校生活で岩井宿泊学習での教育の機会を失ったお子さん(4・5年で経験できなかったお子さん)への救済として卒業までに1泊でも岩井宿泊学習を受けさせてあげたいです。

来年度の方針の変更等にむけ、私にできることを行っていきます。

【参考リンク集】
・北区の基準「まん延防止等重点措置の適用に伴う、感染症対策の一層の徹底について」(4月14日付)
・内閣官房ホームページ まん延防止措置の基本的な考え方
・文科省からの通知(4月1日付4月30日付


編集部より:この記事は、東京都北区議会議員、駒崎美紀氏(無所属)のブログ 2021年7月8日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこまざき美紀オフィシャルブログをご覧ください。