菅首相「米NBCインタビュー」での発言を考える

菅義偉首相は、米NBCテレビのインタビューに対し「新型コロナウイルスを克服し、(東京オリンピックを)開催することに真の価値がある」と述べたという。

菅義偉首相 NHKより

確かに、真に新型コロナを克服した状態でオリンピックを開催できたなら、価値はあるだろう。しかし、今の日本は新型コロナを克服した状態にあるのだろうか。また、菅首相は克服したと真に考えているのだろうか。考えているとしたら、恐縮な言い方になるが、どうかしているのではないか。

今の日本には緊急事態宣言が発令されている。それ一つをとってみても、日本はコロナを克服できていない状態なのは明らかだ。緊急宣言によって、どれほどの数の飲食店の人々、その他様々な職種の人々が苦難に陥り、困っておられるか、首相もご存知のはずだ。その事も併せて考えたら、能天気に「新型コロナを克服し」などと言えないはず。

コロナワクチンを大多数の人が打ち、緊急宣言が解除された状態ならばまだ克服と言って良いだろうが、今の状態で克服と言える神経が私には理解できない。

共産党の志位和夫委員長は、前述の首相発言を受けて「言葉の通りならば、この五輪に価値はないということになる」と皮肉ったというが、そう言われても仕方ないほど、残念ながら、首相の言葉は軽いと言わざるを得ない。

私はこれまで五輪開催に反対してきた。それは国内外にコロナを拡散させてしまう可能性があるからだ。その思いは今でも変わっていない。変わっていないが、その一方で、開催されてしまったならば、無事に終幕を迎えてほしいと感じている。

7月24日放送の「報道特集」(TBS)によると、五輪関係者が宿泊する施設における関係者の管理は杜撰なものだという。杜撰な管理、状態なまま、関係者が長時間外出する。このような事を許しておいて、本当に安心安全の五輪を開催できるのか?改めて、不安と疑問が湧いてくる。

また、菅首相は同じインタビュー時に、バイデン大統領のジル夫人が五輪の開幕式に出席するため訪日したことに関して「日本にとって真の同盟国は米国だけだ」「大統領夫人の来日を非常にうれしく思う。温かく迎えたい」と述べたという。

大統領夫人を歓迎するのは良いし、米国が大事で重要な同盟国なのは間違いないが「真の同盟国は米国だけだ」との発言は如何なものであろうか。米国一辺倒過ぎるのではないか。本当にこのような事を発言したのであれば、外交上、問題ではなかろうか?重要な同盟国、最重要な同盟国、このような表現で良かったのではなかろうか。