おくざわ高広です。
町田から政治と社会のかけ橋になるべく暮らしています。
さて、今日はかなり政治寄りなブログとなります。
東京都の新規陽性者数が2848名となり、過去最高の数値を記録しました。私としては、これまでも再三述べてきた通り、新規陽性者数だけをみるのではなく、重症者数や死亡者数、あるいは増加の背景をみながら、冷静に対応する必要があると思っています。
≪新規陽性者数の推移≫
≪重症者数の推移≫
≪死亡者数の推移≫
これらの数字を見ていただくと、新規陽性者数は増えているが重症者数はさほど増えておらず、死亡者数は大きく減少しているのが分かります。新型コロナウイルス感染症は、感染そのものを抑えることは困難ですが、医療体制との兼ね合いで新規陽性者数を抑える努力が必要であり、その観点から重症者数の推移はしっかりと見ていく必要があります。また、死亡者数が減るということは重症者数が減っている、特に高齢者の感染者が減っていることとあわせて、早期に適切な治療を施す体制が確立されてきたことも示唆されており、出口が見えてきたと捉えることもできます。
ちなみに、4月の感染拡大時に大阪では重症者数が急増し、東京では増えませんでした。その原因について比較分析すべきとの提案をしましたが、都道府県ごとに体制が異なるため不可能とのことで、重症者数や死亡者数の減少について確かな理由は分かりません。
とはいえ、この人数を全員入院もしくは宿泊療養にするリソース(ベッド数、医療従事者、輸送体制、相談体制など)は不足しており、看過できるものではありません。ただ、厚生労働省のアドバイザリーボードの資料などを読めば、この状況は予見されていたので、受け入れ体制ができていないことや新たな対策を講じることができずにいる現状は、
空気で支配してきた政治の代償
だと私は考えています。
例えば、新規陽性者数が増えた原因を把握できているのか疑問であり、それが分からなければ対策のうちようがありません。
考えられるケースとして、
①緊急事態措置の内容が効果的ではない可能性
緊急事態措置として人流の抑制に向けた取組やリスクの高い場面を避けるために酒類の提供禁止などを行なっていますが、果たしてそれが効果的なのか否かということです。菅総理は人流は抑制できていると言いますが、それが正しいとするならば、人流と感染拡大は無関係ということになります。
②緊急事態宣言が行動変容を起こしていない可能性
4度目の緊急事態宣言かつ東京都では2021年に入ってからずっと緊急事態もしくはまん延防止という状況で、慣れてしまったという意見もみられます。どのような対策をうとうとも、それに応じてもらえない関係性なのであれば、行動変容が起こらず、感染を抑えられるはずがありません。
③無症状者が検査を受けた可能性
無症状の方が帰省などを見越して連休中に検査を受け、その中で陽性と判定された人だけが行政検査に臨んだ可能性があります。事実、これまでも新規陽性者数が大きく増加するのは長期休暇など帰省シーズンの直前です。数字の変化だけを追っていては、対策を誤る可能性が出てきます。
このように、新規陽性者数という客観的な事実をみても、その背景にあることはいくつもの可能性があり、それを抑えずして、効果的な対策をうつことはできません。
ワクチン接種を急げ、医療体制を強化せよ、そもそも指定感染症から外せ、オリンピックパラリンピックを中止せよと様々な意見が出ていますが、過去の対策は変えることができないし、現状を急激に改善させる方策はないというのが現実です。
であるならば、今すべきことは、まずオリンピックパラリンピックをこのまま続けても、問題がないのか見極めることです。これも空気ではなく客観的な事実での判断が必要です。日本に住まう私たちはもとより、大会関係者として海外から来ている方々にも充分な医療を提供できるのか、冷静に的確な判断が求められます。
それと同時に、今後のコロナ対策で何を優先すべきかという点も今日か明日には即座に判断し実行する必要があります。ワクチン接種が効果的だとしても接種体制をすぐに強化することはできません。また、緊急事態宣言が、少なくとも新規陽性者数を抑えるという点において効果を発揮していないことを踏まえれば、今の対策を続けていく、あるいは強化する先に答えはありません。
冒頭で、現状は空気感で支配してきた政治の代償だと言いました。
このような意見がありました。
「五輪が直接の原因じゃなくても、お祭りムードが緊急事態宣言の効果を下げた。」
この意見をみて、思い出したことがあります。ちょうど一年前になりますが、東京で新規陽性者数が増えていく場面で、GOTOトラベルやイートがあるから対策の効果が薄まった、という意見がありました。たしか都議会の公式な場面でも答弁があったように記憶してます。後になって、GOTOが感染拡大を招いたわけではないという意見も多く見られましたが、空気や世論に押されてGOTO事業が中止となったことは周知の事実です。
また、報道によると、東京都の担当局長(担当部署のトップ)が「不安をあおらないで」と発言しているようですが、今更それは無理です。東京都は客観的な事実や数値を尋ねても答えようとせずに、検証も行わず、とにかく空気を醸成して行動変容を促してきました。たしかに小池知事の得意な手法であり、一定の効果を上げてきたことは事実ですが、それを都庁の職員まで一緒になってやってたらダメなのだと再三伝えてきましたが、残念ながら変わることはありませんでした。これまでは新規陽性者数が増えたら「あぶない。家にいて。」とメッセージを送ってきた東京都が、過去最多の数字が出た今「不安をあおらないで。」と言っても説得力がありません。
賛否両論あるとは思いますが、世界からアスリートが集まり、その姿に感動の波が広がっているのもまた事実です。
このような時に、結果的には過去最多の数値が出て、有効な対策を打ち出すことができずにいること、加えて国民との信頼関係が構築できていないことは、この空気に支配された政治の代償なのであり、これを打破する政治人材と政治システムの必要性を強く感じています。
私の持ち場で、取り組んでいきます。