8月4日、厚労省はコロナワクチンについて驚くべきデータを公開しました。そのデータは、「ワクチンを接種した人は、出血性脳卒中と虚血性心疾患による死亡が激減した」ことを示しているのです。これは、さすがに理解に苦しむデータです。これでは、コロナワクチンが出血性脳卒中と虚血性心疾患による死亡を、まるで予防したかのような印象を与えてしまいます。計算方法に問題があるか、計算の前提となっている数値に問題があるかのどちらかです。
では、厚労省がWebサイトで実際に、どのようなデータを公開したのか見てみることにします。
虚血性心疾患の場合は、一般人口における1日の死亡の発生率は、1.46件/100万人、ワクチン接種者のそれは、0.04件/100万人です。つまり、ワクチン接種者の死亡発生率は、一般人口のそれに比べて37分の1ということになります。
ワクチンと疾患による死亡は無関係という前提では、ワクチン接種者の死亡発生率は、一般人口のそれと同じくらいになるはずです。25分の1とか37分の1とかでは、低下しすぎです。年齢構成という点では、現時点ではワクチン接種者は高齢者の割合が高いですから、死亡発生率を低下させる要因にはなりません。低下しましたから、ワクチンは安心安全というのは少々安易な発想です。不自然なほど差が開いた時は、その原因について考察するべきです。
原因の一つは、報告バイアスです。つまり、現場の医師の判断により報告されてない症例が多数存在する可能性があるわけです。ただし、報告バイアスのみで説明しようとしますと、死亡者が25倍とか37倍とかにならないと辻褄があいません。もし、実際の死亡者がそれほど多いのだとすれば、実に恐ろしい話です。もう一つの原因は、ワクチン接種者には、全身状態が悪い人は含まれていないという事実です。以前にも指摘しましたが、死期が迫っているような人には、接種していないはずなのです。その結果、ワクチン接種者の母集団には全身状態の悪い人は含まれておらず、死亡発生率は低くなるわけです。
厚労省は、報告バイアスの重要性をもっと認識すべきです。また、以前の提案を実行してほしいと、私は思います。マイナンバーのポジティブリストの変更という法改正が必要なのかもしれませんが、要は政府のやる気次第です。そうしなければ、空虚な議論の繰り返しとなってしまいます。