オリンピック開催に反対したのは半数もいなかった:世論を誘導するマスコミ --- 田中 奏歌

一般投稿

オリンピック開催に反対する世論が7割・8割あったと多くの人が信じているようである。が、私は半分以上の人が開催に反対している世論調査結果を見たことがない。一部に見逃しがあるかもしれないが、半数程度の反対しか目にしたことがない。

つまりこういうことである。オリンピックの開催の「延期」に賛成する人はそこそこいたのであるが「延期」という回答を合わせて「開催反対」とするマスコミには悪意すら感じる。延期回答は開催反対ではないのである。延期できないなら開催したいという人を無視してはいけないのである。

誰だって安全にかつ安心してオリンピックを開催したいと思うのは当然であり、「延期したい」という選択肢があれば、これを選択する人はかなりいたであろう。決して無条件の開催反対ではない。もし延期を選択肢に入れて質問するなら、延期できないならどうする、それでも開催辞退するのか、ということをきちんと質問するべきである。

延期の可能性の大きい時期の調査ならともかく、ある程度延期が厳しくなりそうなとき以降の調査にて可能性の少ない延期という選択肢を入れ、これに賛成した人を開催反対におりこむのは世論の誘導以外の何であろうか。延期の可能性のまだあった時期であっても、延期の仕方(時期や負担その他)によっては様々な可能性があり、そもそも「単純に」延期を選択肢に入れ、延期に回答した人を反対とみなすことは、世論の誘導以外の何物でもないのではないだろうか。

仮に延期を選択肢に入れるなら、「予定通り開催する」「可能であれば延期する」「延期できない場合でも開催しない」という選択肢であるべきである。延期についての選択肢は書き方が悩ましい選択肢になるので本来は選択肢に入れるべきではないと思うが、いれるなら上記のようにすれば、この時期の開催には絶対反対という意思表示が明確になる。そのうえで可能性があれば延期、という回答が多ければ、政府に対して、延期の可能性の有無についてしっかり説明することが求められるはずである。

不明確な選択肢を限定せずにさらっと入れた調査とその結果の恣意的なまとめは、国民の意見ではなくマスコミが世論を誘導するという典型である。

先日、菅総理には説明力、説得力、責任能力がないというマスコミ人の意見を見た。今の対策は100%完璧だとは思わないが、説明しても報道しない、切り取って発言を伝える、マスコミの予測に反して強くワクチン接種を進め死亡者がこんなにも抑えられたという現状を無視して、責任能力がないというのはいかがなものか?マスコミには、報道しない自由があるという典型例ではないか?

トヨタの社長が昨年の株主総会で話された「最近のメディアを見ておりますと、何がニュースかは自分たちが決める、という傲慢さを感じずにはいられません」という言葉(トヨタイムス#81)に深くうなずく次第である。

【文章訂正のお知らせ】
掲載時、記事内に誤記載があったため、訂正をいたしました。(8月31日11時30分)

田中 奏歌
某企業にて、数年間の海外駐在や医薬関係業界団体副事務局長としての出向を含め、経理・総務関係を中心に勤務。出身企業退職後は関係会社のガバナンスアドバイザーを経て2021年4月より隠居生活。