タリバンは「メガ・リッチ」:米軍遺族訴訟で明らかになる資金の流れ

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タリバンは「メガ・リッチ(大金持ち)」

The Taliban are Megarich: Where They Get the Money They Use to Wage War in Afghanistan
From "The Conversation": Hanif Sufizada, Education and Outreach Program Coordinator at UNO's Center for Afghanistan Studies, breaks down the income sources of t...

タリバン初代最高指導者故ムハンマド・オマルの息子で、軍事トップのムハンマド・ヤクーブは、タリバンが得た2020年の収入を16億ドルと開示(政府側が55億ドル)した。20年間の戦い継続は、タリバンの「管理」能力のしるしだ。問題は銃だけではない。隠れ場を見つけ、幹部を財政支援し、移動費を支給した。政府軍の軍人、警官、警備員への賄賂の金も不可欠だった(米軍側事業者もタリバンに賄賂を払っていた)。何よりも国外からの寄付、つまりイスラムの大義を支持する富裕層や組織による寄付が5億ドルにのぼる。国内から、アヘン農家とサプライチェーン参加者すべてに10%の税金で、5億ドル(今後ケシ栽培を禁止するというが)になる。希土類、鉱物、銅、亜鉛など豊富な鉱山も、中国はじめ重要輸出先を持つ。支配地域の企業に「税金」を課し、3億ドルに。他の税金もあり、支配下の貿易業者と市民に課せられた。他にも建設、不動産、輸出にも従事している。

オーガストの闘い

2011年10月にカブールの自爆テロで殺害された米軍のデビッド・カブレラ陸軍中佐の未亡人オーガスト・カブレラ・ワイルドマンは、10年後の今、3つの集団訴訟(対イラン、対米軍事業者、対国際銀行)の先頭に立つ。カブレラ中佐は、戦死した最初の軍事ソーシャルワークオフィサーである。彼は1万人のNATO軍をケアする3人のメンタルヘルス専門家の1人だった。装甲バスに乗り、10の前進基地間を毎日往復。妻オーガストと当時7歳のマックスと6歳のロアニンの2人の男の子と、彼の前婚の2人の息子たちコービン(同14歳)とジリアン(13歳)が遺された。

数々の訴訟

1)タリバンの背後にいるアルカイダの背後にいるイランを訴える
多数の同様の訴訟があるが、「外国主権免除法(FSIA)のテロ除外条項」に該当しても、強制執行は困難。過去数十年にわたって、何百人ものテロ被害者が連邦裁判所でイランイスラム共和国に対する判決を得た。イランはこれらの判決を履行していない。被害者は、米国内にあるイラン資産を示して裁判所に戻る。アラヴィ財団および650フィフスアベニューCo.を訴えた例では、連邦地裁は、NYマンハッタンのミッドタウンにある36階建て商業用超高層ビル「650フィフスアベニュー・ビル」の権利引渡しを被告に命じたものの、破棄・差戻しになった。

2)タリバンに資金提供した防衛産業の請負業者を訴える
タリバンに「保護金(みかじめ料)」を支払ったとして、主要な業者を訴えた。連邦テロ対策法(ATA)による。米政府は防衛産業の請負業者に保護金支払いは違法と警告してきたが、「被告はすべて、9.11以降のアフガニスタンで儲かる事業を営む大規模な西側企業であり、タリバンが彼らの事業を攻撃しないように支払った」。「数千人のアメリカ人を殺害し負傷させたアルカイダが支援するタリバンに直接資金を提供し、テロを支援」。「テロリストの脅威を軽減するセキュリティ投資よりも、タリバンを買収する方が安かった」。また、タリバン戦闘員を用心棒に雇った。電気通信会社MTNグループは、米軍が武装勢力追跡にセルラーネットワークを使用していると信じたタリバンの要請で、夜間にセルラータワーを非アクティブ化した。

3)テロリストを支援した主要銀行を非難
タリバンは地雷(IED)製造に肥料(硝酸カルシウムアンモニウム=CAN)を使用。CANのほとんどは、パキスタン、主にパンジャブ州で製造。密輸業者は、肥料をセメント、小麦粉、洗剤に混ぜ、アフガニスタンの過激派に輸送。メーカーの1つは、米国の資産が凍結されたファチマ・グループ。米当局は、14万発のIEDに十分なCANが、同グループ子会社パカラブ肥料社によって合法的に製造されたとしている。英スタンダードチャータード銀行が、資金の流れに関与。また、ドイツ銀行やダンスケ銀行ほかは、顧客がアフガニスタンのアメリカ人を標的とした攻撃を支援しているという警告を無視。そうした企業や個人に、口座開設、送金、その他のサービスを提供した。2016年の「テロ支援者法(JASTA)」により、テロの犠牲者とその家族は、「米国に対してテロ活動に従事する外国の組織または個人に直接的または間接的に物質的な支援」を提供した個人、団体、および国に賠償を求めることができる。同法は、9/11同時多発テロの犠牲者遺族が、オサマ・ビン・ラディンを支援したサウジアラビアに対する訴訟を可能とするために制定された。ドイツ銀行は、米政府が2016年にテロリストのマネーロンダラーとして逮捕したパキスタン人アルタフ・ハナニを含む顧客につき通常より高い手数料を得ていた。

ダンスケ銀行事件は、ヨーロッパ史上最大のマネーロンダリング・スキャンダルで、背景には、いわゆる「ミラー・トレード」があった。ロシアのルーブルを米ドルに洗浄するための特殊な株取引で、ドイツ銀行は、ダンスケ銀行のコルレス銀行だった。米国で、ドイツ銀行は高額の罰金を支払った。もっとも、8月25日、ダンスケ銀行は米国での投資家詐欺訴訟に勝訴。「エストニアの1つの支店でのマネーロンダリングだけでは、ダンスケ銀行自体が投資家を欺くための欺瞞的な計画を実行したことを立証できない」。同行がマネーロンダリング収入を不適切に報告し、監督の失敗を軽視し、内部告発者の苦情を誤って処理したという理由では、詐欺の主張を支持しなかった(ダンスケ銀行は、米国訴訟の勝利に満足)。

オーガスト集団訴訟が企業や銀行に与える影響

過去30年間で、米国議会は、テロの犠牲者が米国の裁判所で賠償を求めることを可能にするいくつかの法律を制定した。議会が将来そのような法律をさらに制定する可能性がある。1990年の「テロ対策法(ATA)」は、テロ行為を故意に「支援または支援」する団体または個人に二次的責任を負わせ、被告の防御を制限するために、近年2回拡張。また、原告が特定の外国政府の資産(米国の制裁法に従って凍結された銀行口座その他の資産)に対して判決を執行することを許可。さらに、2016年9月、議会は「テロ支援者法(JASTA)」を可決。ATAと「外国主権免除法(FSIA)」を改正。JASTAは、「制定日現在係属中の訴訟」に適用される。ATA責任の範囲は、2018年の「テロ対策明確化法(ATCA)」を通じ、2018年に再拡大。テロリストつながりが判明した顧客にサービス提供してきた金融機関等を相手取り、「集団訴訟の洪水」となるかもしれない。

中国のコロナウイルス責任

国家テロ訴訟に触発され、ミズーリ州シュミット司法長官は、コロナ発生当初の情報隠蔽その他の行動がミズーリ州での人命の損失と重大な経済的損害につながったとし、中国政府、中国共産党などに対して訴訟を提起。ミズーリ州テネシー州アリゾナ州の共和党上院議員による「主権免除回避法案」や、ミシシッピ州の共和党司法長官による訴訟など。外国主権免除法(FSIA)には、商業活動、米国で発生する不法行為、国家支援テロリズムの例外がある。裁判所は、中国に対する告発がこれらに含まれると見なす可能性は低い。そこで法案は、コロナに限り中国に対する訴訟を認めよという。かつて、9/11におけるサウジアラビアの免責を削除した。だが原告には、中国が「生物剤を放出」または「漏出を故意に隠蔽」したことを証明する困難な課題が残る。