今週のつぶやき:中国をデカップリングせよ

母校のオンライン同窓祭で海外の同窓を集めたパネルディスカッションとオープンディスカッションの企画兼モデレーターをやりました。5カ国の様々な都市からの参加者と2時間の熱いトークは今までにない刺激でした。オンラインのメリットを最大限享受し、海外の同胞の活躍ぶりを目の当たりにして思ったことは海外では「日々生きること」を意識せずにはいられない点でしょうか?ふとすれば「大河のごとく」になりがちですが、「急流でもがく」のとどちらを選ぶか、という切り口は新鮮でした。

MarsYu/iStock

では今週のつぶやきをお送りします。

株式市場は「インディアンサマー」

インディアンサマーというのは「小春日和」のことで西海岸北部では大体9月末に数日から一週間ぐらい続きます。当地のこの数日の天気も晴れ渡り気温も穏やかです。株式市場も先週までの土砂降りからこの数日はインディアンサマーそのもの。ちなみに当地の天気予報は来週からいよいよ雨季に入りますが株式市場の天気も雲行きはどうでしょうか?

今回の晴れ間はご承知の通り中国、恒大の行方に一喜一憂したものです。23日の利払いはどうにか通過などという報道はノー天気そのものです。元建て社債の利払いは行ったとされますが、何をどう払ったのか開示されておらず、クリアリングハウス外(場外取引)で行われました。つまり条件闘争があったことは確実であり、ドル建てについては依然未払いで1か月の猶予期間に入りました。いみじくも麻生大臣が「わかる人がいたら教えて。それが答えだ」と述べていますが、それぐらい闇であります。

一方、アメリカのFRBが定例金融政策会議で年内の量的緩和縮小開始を示していますが、私はまだ確定的ではないとみています。先進国の金利は国家の成熟化に伴い長期的に低下するトレンドにあります。その中で24年までに7回ぐらいの利上げというドットプロットは意味をなさない希望的観測でしょう。ビジネスの肌感覚ではそこまで熱くならず、違うところに向いそうです。私は引き続き注意深く見守っていきます。

中国をデカップリングせよ

西側諸国は中国の発表に一喜一憂しています。大国になったというよりそれだけ経済や社会的つながり、政治的影響力が強まった中で習近平氏が孫悟空を演じているのです。如意棒を振り回し、自国内で自由に操ろうとするのは結構です。今後もその締め付けやあっと驚く報道は延々と続くでしょうが、我々はそれにいちいち構っていたらそれこそ彼の思うつぼにはまるのです。

今回、中国は仮想通過(暗号資産)の使用を全面禁止にしました。2か月ほど前に暗号資産の中国内でのマイニング禁止をした際にこれはデジタル元発行の準備、と私は指摘しましたが、今回はその延長線上でその使用すら禁じたわけです。それはアリババのアントの上場を阻止した時からすでに分かっており、情報とマネーのコントロールを完全掌握するためにデジタル元以外のルートは共産党にとって不都合なものなのはたやすく想像できます。

私は中国へのエンクロージャー(囲い込み)政策をさらに推し進めるべきと考えます。併せて中国のエクスポージャーを極力下げ、世界経済が中国なしでも動くようにするのです。菅総理も訪米直前に中国について「わが国の平和と繁栄にとってのリスクになる可能性がある」と述べています。表現は柔らかいですが、非常に危機意識を持っています。また習近平氏の思想は経済を逆回転させ、完全な管理社会構築を目指しており、ジョージオーウェルの「1984」を地で行くようなものでしょう。

世代交代

野田聖子氏が産経のインタビューで「…やはりバトンを次々と若い人に渡していくという社会を見せないと少子化は止まらない。年齢で(線引きを)決めてはいけないといわれるが一般社会は年齢で決めている」と述べています。私は世代交代推進派ですので少子化の件はともかく、これは大いに賛同します。世代交代というのは政治だけではなく、経営や社会全体を含めた中心を担うという意味です。いみじくも昨夜、私が所属するNPOの会長と4時間の差し飲みで話したのは運営団体の世代交代。

団体運営で思うことは過去の踏襲で同じイベントを全く同じように繰り返すことで満足することでしょう。20年前のやり方やプログラムを今でもそのままにしているのです。これでは若い世代は「あぁ、つまんないから違う組織を作ろう」になるんですね。一種の細胞分裂状態で本来であれば一体化しなくてはいけない組織がどんどん小さくなっていく、そして最後は核が残りまるで原理主義者のようになってしまうのです。

では高齢者は放置されないか、と反発の声もあるでしょうが、私たちは社会に甘えちゃいけないのだと考えています。いい歳になるまでに自立し、社会還元をし、バトンすら渡すことすらできないのか、と思うのです。多少観念論になってしまうけれど「アリとキリギリス」の話のようなもので私はアリだけど着実に60年間まっすぐ進んできた、だからこそ、思いっきりよく世代交代させ、若い人に任せる、そして小言を言わない包容力を身に着ける努力を少しずつしています。

後記
来週はマスコミにとって大変な一週間になりそうです。ちょうど半期となる9月末を迎える中、菅総理帰国、小室圭氏帰国、総裁選、さらには大谷サンの残り少ない挑戦で記録を打ち出せるのかなど盛りだくさんです。その中でアメリカはどうにかして大谷サンに大記録を阻止する必死の努力。今は四球攻めですが、もっとえげつないこともあり得るかもしれません。投げてもあと2回あるかないかのチャンスに相手チームは星条旗を背負って勝負に挑むでしょう。記録はたやすくありません。小室氏もいばらの道、総裁選の行方も読めずとどうも落ち着かない週になりそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年9月25日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。