心筋炎の最新データを用いてVBAにより自動集計して、グラフを作成しました。
全部で85例でした。3日以内の発病は59%でした。男性の割合は69%でした。接種回数の2回目の割合は59%でした。死亡は7例で、全員60歳以上でした。
40歳未満の症例の集計です。全部で37例でした。
2日後にピークがありました。3日以内の発病は78%でした。7日以内の発病は92%でした。接種回数の2回目の割合は81%でした。重篤度で報告医が「重い」と報告した割合は81%でした。
20歳~29歳にピークがありました。
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若年者のワクチン接種が進行中の今、心筋炎のリスクは心配事の一つです。厚労省は、接種後の日常生活に関しては、当日と翌日のみ言及しています。具体的には、当日と翌日は無理をしないように予定をたてる、当日は激しい運動や過度の飲酒を控えるなどです。心筋炎のリスクのある若年者の場合、その程度の制限で本当に十分なのか、私は甚だ疑問を感じます。
心筋炎の診断治療ガイドラインより引用してみます。
- 心筋炎のほとんどは無症候性に,あるいは他疾患に姿を変えて日常診療上現れている。
- 軽症例を含めれば,心筋炎は決して発症頻度の少ない疾患ではない。
- 心症状が顕著でない場合は,入院したうえで安静臥床とし,各種検査と注意深い経過観察のみで対処できる。
- 急性期診療ではポンプ失調と致死的不整脈が主な臨床課題である。
- 急性心筋炎の自然経過はいまなお明らかでない。病因や病型によって予後が異なる。
今回集計した最新データでは、40歳未満の場合、発病は接種後2日後にピークがあり、7日以内の発病の割合は92%でした。ガイドラインに記述されていることと考え合わせますと、接種後1週間は、激しい運動や徹夜など体への負担が大きい行為は避けるのが適切と言えます。
心筋炎については、副反応検討部会でも議論されています。議事録より引用してみます。読みやすいように一部改変し補完しています。
- 無症候性が多いため、接種後1週間は運動を控えたほうがよいという情報が結構流れている。
- シンガポールで1週間の(激しい運動の回避の勧告)が出されている。
- 米国や欧州等の当局からは(そのような注意喚起は)出ていない。
- 安静にすることによって心筋炎の発症が予防できるといったようなエビデンスは確認できていない。
- 一律に運動を控えてくださいという(注意喚起)を出すことは、なかなか難しい。
一部の委員が妙な主張をしているため、議論がかみ合っていません。運動制限で心筋炎が予防できるとは誰も考えていません。無症候性の心筋炎の場合、激しい運動により心筋炎が悪化するのではないかと心配しているのです。1週間、学校も会社も休んで家で安静にしていろと言っているわけではありません。接種後1週間は激しい運動をしないようにと言っているだけです。なぜその程度の注意喚起を公式に出すことが難しいのか、私には全く理解できません。