恥ずかしい佐倉市議会④:議会を動画公開したくない議員の心理(前編)

高橋 富人

前稿では、議会を動画公開してほしくないと考える「市役所側」の心理を概観した。

今回の原稿では、議会を動画公開する決定権を持つ議員が、なぜ屁理屈をつけてでも動画公開しないよう仕向けるのかを考える。

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議員が公開を恐れる2つの本音

結論からいえば、多くの議員は、自分たちの「ずさんな審議」や「自分たちの利権維持のために行政を捻じ曲げる審議」を、市民に隠したいことと、「市役所からの要請」により、徹底して動画公開に抵抗する。

以上二点の「本音」を覆い隠すため、自分の支援者たちに説明するための「使い古された方便」がある。まずはその「方便」について説明する。

「動画公開すると共産党や左派の思う壺」という謎の説明

このような説明を、「内緒話」的に支援者に語っている議員がいる。そしてこの説明は、右派や保守を自称する一定の数の国民をだますのに成功してもいる。

その理屈は、ざっと以下のようなものだ。

  1. 議会にかかる議案は、冷静かつ大局的に審議する必要がある。
  2. 他方、共産党や左派は、予算や議案の背景を無視して、自分たちのゆがんだ思想信条をもって、地方議会を使って市役所や日本政府を攻撃している。
  3. そのような様子を、市政を知らない市民が観たら、あたかも市役所や国が悪いことをしていると勘違いしてしまう可能性が高い。
  4. そのため、極力議会審議は「政策検討のプロ」である議員間で実施し、市民の皆さまには結果だけ報告するようにすべき。
  5. そうしないと、地方議会が共産主義の巣窟となってしまう。

というものだ。泣けてくる。

まず、「議案は冷静かつ大局的に」という意見については同意する。その通りだ。

また、確かに共産党や左派会派が言っていることは、私から見てもずいぶん無茶なことを言っていることが多い。

例えば、左派会派「市役所職員をどんどん増やして、福祉にかかるお金に糸目をつけるな!」→私「その財源はどこから捻出するのですか?」などだ。

その他、「5Gの電波は健康を害するから導入すべきではない」、「マイナンバーカードは情報漏洩のリスクがあるので導入すべきではない」など、私からすれば「いや、それはそうではないですよ」ということを、確かに議会で主張している。

しかし、それは彼らのイデオロギーに基づいた主張であって、抹殺すべきものではない。それらの主張が間違っていると思ったら、しっかり反論し、民主的手続きに付せばいいだけだ。しかし、議会多数派の議員は、討論も反論せず、淡々と数の力で否決する。理由は、そのほうが楽だし、そもそも反論するロジックを構成できないからだろう。

動画公開反対議員の本音は「ずさんな審議」を隠したいから

例えば、本年6月の佐倉市議会定例会で、左派系の会派が『「重要土地調査規制法」施行の凍結を求める意見書』を提出したが、私は本年の6月28日に、本意見書に討論で理由を述べ反対した。

2021年6月28日:佐倉市議会最終日「議員発議に対する討論」

以上は分かりやすいように国政レベルの議論について例示したが、市政レベルの議案についても、彼らの「黙殺行為」はほぼ変わらない。ここで重要なのは、他議員の発言が間違っていると思うならば、説得的な反論をすれば市民は両論を踏まえしっかり判断してくれる、ということだ。

むしろ、相手の主張に対し議論も反論もせず、数の力にまかせて議案を圧殺することを続けているほうが、余程「圧殺された側」を利する行為だ。民主主義政体において、議論せず少数意見を取り上げない姿こそ「悪」であるからだ。

ここに、「彼らが動画公開に反対する本音の一つ」が立ち現れる。つまり、地方議員のほとんどは、自分たちが間違っていると思う政敵の主張に対し理を持って反論することができないため、議案の圧殺を繰り返すしかないのだが、そのような振る舞いが「民主主義的な悪」であることを感づいてもいる。

そのため、自分たちの「悪行」である「ずさんな審議」をベールで包み隠すために、動画公開に反対するのだ。

次回の原稿でも、引き続き「議員が動画公開をしない理由」を考える。

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