さて、これまでも何度か取り上げてきた自民党総裁選の新総裁には、岸田文雄さんが選出されました。
この難局に総理の座に就かれる重責は想像もできませんが、日本のかじ取り、よろしくお願いします。
改めて、票の内訳を見てみると、
岸田候補:国会議員票・146票+党員票・110票=256票
河野候補:国会議員票・86票+党員票・169票=255票、
高市候補:国会議員票・114票+党員票・74票=188票、
野田候補:国会議員票・34票+党員票・29票=63票
ということで、下馬評通り、党員票では河野候補がトップでしたが、議員票は伸びずに決選投票へ。
決選投票では、
岸田候補:国会議員票249票+都道府県票8票=257票
河野候補:国会議員票131票+都道府県票39票=170票
ということで、終わってみれば、岸田候補の圧勝と言える結末でした。
以前、おくちゃんねるでお話ししましたが、
国民≧自民党員≧国会議員という関係性の中で、衆議院選挙を見すえれば国民人気の高い候補者に議員票が流れる可能性もある戦いでした。一方で、この総裁選を通じて、自民党の支持率がぐっとあがり、野党支持率が下がる状況においては、やはり党内の力学が強く働いたか、というのが私の率直な印象です。
ここで改めて岸田新総裁の政策を振り返ってみましょう。
【コロナ対策四本柱】
✔医療難民ゼロ(国が主導する野戦病院の設置など)
✔ステイホーム可能な経済対策
✔電子的ワクチン接種証明の活用と検査の無料化・拡充
✔感染症有事対応の抜本的強化(健康危機管理庁の創設など)
【成長戦略四本柱】
✔科学技術立国(10兆円規模の大学ファンドなど)
※原発再稼働を含むエネルギー戦略
✔経済安全保障(自由で信頼あるデータ流通など)
✔デジタル田園都市国家構想(地方におけるデジタルインフラの整備など)
✔人生100年時代の不安解消(勤労者皆社会保険)
【分配戦略四本柱】
✔下請けいじめゼロ
✔子育て世帯の住居費・教育費を支援
✔公的価格の抜本的見直し(看護師、介護士、保育士等の賃金アップ)
✔財政の単年度主義の弊害是正
【外交・安保における3つの覚悟】
✔民主主義を守り抜く覚悟
✔我が国の平和と安定を守り抜く覚悟
✔人類・未来へ貢献し、国際社会を主導する覚悟
また、自民党改革として、比例73歳定年制や自民党役員の1期1年・3期までのルール作りなども特筆すべき点です。
よく言えば「安定」、悪く言えば「変化を求めない」体質が色濃く出た政策とも言えますが、
コロナ禍という不安定な社会情勢においては、非常に重要な資質を備えた方とお見受けするところです。
また、私の気になる点としては、経済対策について、新しい日本型の資本主義(新自由主義からの転換)を進めるとしていますが、あまりピンとくる政策がなく、果たして成長と分配の好循環を生み出すことができるのだろうかと私は疑問符を抱いたところです。※そもそも、日本に本当の意味で新自由主義が存在したのかというところから懐疑的ですが。
いずれにせよ、特定政党に所属していない議員や政治関係者と話すと、
総裁選を通じて、様々なメディアで政策を議論する姿が映し出されたこと自体をポジティブに受け止めています。
党員票と議員票の差を見ても分かる通り、自民党内の力学と国民の求める日本の未来像にはズレがあるのは間違いありません。
衆議院議員選挙に向けて、各政党や候補者がどのような未来像と具体策を提示してくるのか、しっかりと見定めていきたいところです。