宮内庁は、これまでも批判されて手に負えなくなると、皇族の誰それがお心を痛めておられるとか、そのために体調が思わしくないとかいって、正当な批判を抑えて、自分たちが火の粉を浴びないように逃げてきた。
小室圭さんと眞子さま NHKより
そもそも、SNSなどの匿名の書き込みや正体不明のYouTubeはともかくも、週刊誌もネット・メディアも、小室氏にも眞子様にも誹謗中傷などほとんどしていないのである。
むしろ、週刊誌もネット・メディアも言葉の裏を察して欲しいということで、もってまわった書き方をしてきたわけで、それに甘えてきたのが宮内庁であり、テレビ局や新聞社などメジャーな既存メディアであり、ご当人たちである。
むしろ、正式な婚約予定発表の前に、ご当人たちに立ち止まって考える機会を与えなかったことこそ、玉川徹氏などテレビ局などの「よいしょ報道」であり、週刊誌やネット・メディアの指摘を危機感をもって受け止めなかった宮内庁であろう。
そもそも宮内庁はことの起こりから、いかなる努力をしてきたかを説明すべきだ。どう考えてもお付き合いが始まったときに十分な調査を怠ったことに始まり職務怠慢の極みであろう。
精神的に打撃を受けているから報道を止めて欲しいというのは、少なくとも公人にあっては、ありえないのではないか。皇族にそれが許されるなら政治家にも許されるだろうし、まして、家族はそうだ。海外の王室はもっとひどい批判にさらされているし、メーガン妃が気に病んで病気になったところで、手加減されるはずがない。
「忖度」されたかもしれないということでひどく叩かれても、公人の家族として仕方ないということで我慢しているのである。
ただし、私は小室圭母子と宮内庁、とくに小室母子、さらに圭氏には、大いに同情もしている。というのは、本当は眞子様が批判されるべき分も遠慮して小室母子への批判としてされることが多かったからである。
また、圭氏については、眞子様の婚約予定者にも少しは遠慮があるので、佳代さんへの批判というかたちになったことも多かった。
私自身は、たとえば、「「可哀想」は眞子様に失礼：小室さんが越えるべき3つのハードル」という形で2018年2月8日にアゴラで、「｢眞子さまがかわいそう」などというのは、成人皇族である眞子さまに失礼だと思います」と書いたし、2021年4月11日には、「小室氏だけでなく眞子様にも責任：被害者扱いは眞子様に失礼」という記事の中では、どうして眞子様が小室圭氏に拘泥されるのかといえば、あまりにも小室圭氏が批判されるので、「気の毒だ。私のせいで小室さんだけでなくお母様までひどくいわれるのも全てわたしのせいだ」と考えられているからでないかと指摘した。
さらに、「小室圭氏よりはるかに眞子様のほうに反省すべきことが多いと思う。小室圭氏がいささか困ったタイプの人物であることは確かだ。（中略）しかし、玉の輿を狙うとか､逆玉をねらうことは、爽やかかどうかはともかく、道義的にそれほど悪いなどというコンセンサスは世の中にない。もともと、逆玉指向だったらしい小室圭氏が、思いもかけぬ大魚に巡り会って、必死に心をつかむ努力をしたところでそれが悪いこととはいえまい。ロマンスの経緯はそれほど明らかになっていないが、もしかすると、熱心だったのは眞子様のほうだったかもしれないし、両殿下だってそれほどネガティブだったわけでもなさそうだ」、「眞子様は、内親王としていささか無責任に過ぎる。内親王に生まれたがゆえの責務というものをまったく否定してしまったら、君主制度というものは成り立たない」「国民の声にも謙虚に耳を傾けたうえで、なお、愛に生きたいと仰ることを否定はできないが、それなら、小室氏との生活の将来像を与えられた条件のもとで、どうつくるかきっちり話し合って、記者会見でも開いて自分で国民に説明されるべきだ」と書いたのである。
最近の経緯でも、借金を認めず400万円について返すべきでないとか、小室氏に帰国して記者会見するように要求したのは、眞子様でないかという報道もあるが、ありうる話だ。
気の強い女優さんと、それほどしっかりしているわけでない婚約者の組み合わせでよく見るパターンだ。
また、宮内庁については、私自身も両陛下であれ皇族も含めて批判したいときにも、少し遠慮して宮内庁や長官を批判する形にしていることは正直いってあるし、むしろ、それが言論界における習慣でもある。
それについて、宮内庁の人に、あからさまに批判できないので、宮内庁批判のかたちにしているので御免と申し上げることもあるし、ご理解頂いていると思う。
ただ、そういうこともあるというだけで、やはり宮内庁の方を批判しなくてはならないことも多い。
今回のように、皇族の病気のせいにして逃げようとか、「誹謗中傷と受け取られる」とかいう微妙な表現で、正当な意見をいっている国民を誹謗中傷することは許されるはずがない。
テレビのワイドショーについては、当初はほとんど報道せずに、小室氏擁護ばかりだった。さらに、その後も、小室圭氏の母親の400万円借金問題について佳代さんを批判するということの一点に絞ってきた。元婚約者という証言者がいるのと、母親の問題であって小室氏本人への批判にならないとかで、それほどの重大事でないからだ。
つまり、もっと大事な小室氏についての懸念材料は、今に至っても、報道しないのだ。
それどころか、この問題について批判的なコメンテーターは排除してきた。私自身も、このテーマで声がかかっても土壇場でキャンセルされたり、この問題には間接的にせよ触れないで欲しいと釘を刺されたりした。
その結果はどうかといえば、国民の大部分は、400万円問題以外はあまり何が問題かを知りさえしないで戸惑ったままだ。
