サッカーと、社会課題解決
埼玉スタジアムでのサッカーW杯最終予選、日本はオーストラリアとの激戦を制し、カタール本戦出場への希望を残しました。
この埼玉スタジアムを本拠地にする浦和レッズさんとは、休眠預金を活用した社会貢献事業でRCFはご一緒しています。一週間前もお邪魔し、ルヴァンカップ準決勝のセレッソ大阪戦も観戦しました。
今年、RCFでは浦和レッズさん含め、7つのプロスポーツクラブと事業を進めています。
概要を紹介したいと思います。
7つのクラブとの社会事業
浦和レッドダイヤモンズ: さいたま市内の子ども食堂に通う児童・家族を対象に、スポーツを通じた心身・精神的なケアプログラムと、子ども食堂への支援物資のデリバリープログラムを実施
AC長野パルセイロ: コロナ禍で打撃を受けた飲食店・農家が参加するイベントを実施。またクラブのECサイト「パルシェ」上で農家の販売チャネルを確立
FC琉球: 県産品を活用した応援弁当とアスリートレシピを企画開発。クラブのオウンドメディアを通じて、県産品の課題を県民に周知。子ども食堂に通う子ども達にも応援弁当を配布
秋田ノーザンハピネッツ: 秋田県内初、プロスポーツチーム初の常設子ども食堂を新設。困窮家庭への子どものアクセスと、福祉サービスへの接続を図る
川崎ブレイブサンダース: 居場所を十分確保できない子ども達への拠点を提供。またバスケスクールの無償スカラシップを通じて、バスケットボールにふれる機会を提供
京都ハンナリーズ: 京都市内での子ども宅食事業を市内別地域に横展開。オウンドメディアを通じて課題の可視化と子ども宅食事業の紹介・発信を行う
熊本ヴォルターズ: ひとり親家庭の子どもを対象に、日帰り体験プログラムを実施。食育、バスケ体験、選手による夢授業などを通じて、子どもの孤独感の軽減とコミュニケーション増加を図る
スポーツクラブと選手の地域での影響力を活かし、コロナで苦しむ子ども達や飲食店、農家を支える取り組みができつつあると、ご理解いただけると思います。
プロスポーツが社会貢献を行う意義とは
子どもたちや飲食店の困難は、まず行政が対応します。しかし支援制度があっても、申請主義であるためになかなか使われなかったり、公平平等を重視するあまり深い支援ができません。
個別に対応する取り組みは、NPOが行います。ただ国内NPOも発展途上。地域に数百人以上の課題を抱える子どもたちがいても、数十人程度しかカバーできない現実があります。
スポーツクラブは、そうした狭間を埋める役割を持ち得ると考えています。まずは地域での知名度と発信力。彼らが発信することによってメディアも動き、地域のひとり親世帯や、困ったお店や農家の皆さんに支援を届けることができます。また、行政や地域の有力企業とのつながりもNPO以上にありますから、いわゆるコレクティブインパクト(協働型の社会課題解決)を生むことが容易です。
スポーツクラブが社会課題解決の主要プレイヤーへ
今回の休眠預金事業では、3つのJクラブ、4つのBクラブとご一緒していますが、申請段階では、23のプロスポーツクラブが応募頂いておりました。
また私自身、Jリーグの社会貢献を主にみる社外理事を仰せつかっていますし、Bリーグの経営企画の皆さんとも地域での事業について議論を重ねています。
今回の7つの社会事業が発展するとともに、JリーグやBリーグを通じて、さらに多くのスポーツクラブが新たな社会事業を生み出すようになることを願っています。
昨日は、久々にサッカーをみて気持ちを熱くした方も多かったと思います。こうしたスポーツが社会課題解決を担おうとしていることも、ぜひ知って頂ければと思います。
編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2021年10月13日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。