立憲民主党に聞きたい「安保法制を改正していいのか」--- 青木 潤

立憲民主党公式ページより

立憲民主党の枝野代表は、その著書なり終戦日の談話で、安保法制の違憲部分(集団的自衛権の行使容認)は認めるわけにはいかないと述べている。そしてこの度「安保法制の違憲部分の撤回」を野党4党の衆院選挙共通政策に入れた。立憲民主党と共産党が選挙協力をし立憲民主党が政権をとったなら、共産党は限定的閣外協力としながらも、安保法制改正を含め20項目は監視していくと述べていた。

もし立憲民主党が政権を取り安保法制を元に戻すなら、現在の平和安全法制の中で進化してきた日米安保体制の見直しに繋がり、厳しい安全保障環境において日本の安全が保てなくなるのではないか、問いたい。(田原総一朗氏は安倍晋三政権の最大のレガシーは平和安全法制だと述べている。)

ただ、立憲民主党の選挙公約に「安保法制の違憲部分の撤回」が見当たらないようだ。(NHK挙WEB 参院選20192021年3月30日立憲民主党基本政策

13日のBSの報道番組で自民党の高市政調会長と立憲民主党の泉政調会長が総選挙の戦略を語っていた。

司会者が泉政調会長に、

「立憲民主党の選挙公約に‟安保法制の改正“が上がっています(高市会長はまだ見ていないとのこと)が、安保法制を改正することによる日米安保への影響をどう考えるのか」

「在日米軍基地の辺野古建設中止は工事をストップして、また最初から交渉を始めるのですか」

と厳しく問い詰めると、真面目な泉氏だけに一生懸命応えておられたが、要は政権を取ってから真剣に取り組んでいくとの話だった。

ひょっとすると、立憲民主党は現実を見据えた安全保障政策を持たないため、今回は「安保法制云々」は引っ込めたのかもしれない。立憲民主党の選挙公約に「安保法制の違憲部分の撤回」はあるのかも知りたい。

衆議院選挙は政権選択選挙と言われる。そして、今回は野党共闘が進んだことにより、自民・公明対立憲・共産で政権を争うことになると言われている。

10月18日の記者クラブの党首討論会では、政策メニューで経済・財政政策、コロナ対策、教育・子育て政策さらには選択的夫婦別性・ジェンダーなどなど、それぞれの党の主張、言い分を聞くとほとんど何となくわかった気がする。しかし外交・安全政策においては、自民・公明と立憲・共産の両陣営の方向が明らかに異なっていることが分かった。

10月19日もNHKが各党首に有権者に何を訴えるのか問うていた。安全保障について、枝野氏は安保法制なり辺野古基地なりについてはゼロベースでアメリカと当たりたいと言い、国民民主党の玉木代表は現実を見据えない立憲民主党の外交安全政策には与しないと言っていた。

NHKが6月に実施した世論調査で、中国の軍事力増大に対して国民の8割が脅威を感じていると報じていた。政権選択選挙において、各党はコロナ対策と経済の立て直しを示すとともに、今回こそ外交、安全について日本の在り方を国民に示す必要があると考える。

中国、北朝鮮など迫りくる厳しい安全保障環境にあって、日米安保体制(今までの自民党が進めてきた政策)をゼロベースで見直そうとする政党に政権が移ってもいいのか、国民に分かりやすく解説してほしい。

共産党の外交安全政策はほとんどの国民は分かっているはずだから、今回の選挙に当たってマスコミにお願いしたいのは、立憲民主党の枝野代表に安全保障政策を聞くだけでなく、BSテレビの解説者のような政策の矛盾点なり現実離れしたこと等、立憲民主党の安全保障政策が非現実的⦅国民民主党指摘⦆と見ていないのかを問い詰めながら国民の前に立憲民主党に日本の安全を任せていいものか明らかにしてほしい。

青木 潤
年齢70代後半。公務員OB。自宅(三田市)と実家(丹波市)交互の生活を楽しんでいる。趣味は読書と楽農。自身のブログ「田の神様つぶやき」を哲学喫茶(政治喫茶)にし、火床(ひどこ)を目指したい。


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