今週のつぶやき:小室さんの落とし穴ほか

来週から一定条件の下、日本入国時の隔離期間が3日に短縮になります。私はこの噂が出たところですぐに12月初めの航空券をゲットしました。その後、航空運賃は垂直上昇中で予想通り平民には手が届かない状態のところも出てきています。ただ、私は欧州などでの感染が悪化している中、日本だけ異次元のコロナ感染激減のこの好条件もいつ変わるかわからないと身構えています。

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踊る株価、日本も追撃へ

このところの北米株式市場は好決算が続出し踊り狂ったバブルの頃を思い出します。インフレもコロナも株価上昇があればカウチに寝転がってネットフリックス見ながらデリバリーフードでゆとりの生活ができるという幻想のような世界に浸りきった人たちで溢れかえります。本日発表になったアメリカの10月の雇用統計はプラス53万1千人、8,9月分も23万5千人上方修正で出来すぎと思うほどの結果となっています。それでもパンデミック前より420万人雇用は少ないのです。しかしそれは回復しないのではなく、時給20ドル(約2300円)じゃ働かないよ、というえり好みの結果に見えます。

インフレは今しばらく続くでしょう。OPECプラスに懇願した原油のさらなる増産要請はかすりもしていません。アメリカは石油備蓄を取り崩す検討とか、日本でもあるテレビで備蓄取り崩しをすべきだとした専門家がいましたが、今取り崩して先々バレル100ドルになったらどうする気でしょうか?我々は脱炭素に向けた高いコストを払い始めたところです。それはまだ入り口に立ったところなのです。

ただインフレは株価にもプラスなので居眠りをしている日本の株価にも良い刺激となるはずです。私の読みでは週明け早い時期に日経平均3万円奪取になるとみています。日経平均だけ見るとソフトバンクとファーストリテイリングの株価に引っ張られすぎだと思いますが、両銘柄とも立ち直りそうです。特にソフトバンクの株価は明らかに過小評価です。日本は決算が11月半ばまで続きますが、好業績の企業は注目されるでしょう。今は新興銘柄より主力株の底チカラが見て取れると思います。

小室さんの落とし穴

小室さんがNYの司法試験で想定外の不合格になった報道はびっくりだったのですが、私はそもそもマスコミが言うような試験に受かれば〇千万円の報酬がもらえる弁護士になれるとは一秒たりとも思ったことがありません。北米でそんなおいしい話があるなら私だってとっくに億万長者になっています。カナダで弁護士代に過去30年で1億円以上も費やした私から見れば北米における弁護士の仕事が何かを理解し、それに追いつくには彼は10年やそこらはかかると思います。

弁護士の業務は法律図書を読解すればいいというものではないのです。世の中のトレンドを察知し、どんどん変わる法的解釈やビジネス戦略を契約書などにどう落とし込むか、これがビジネスとリスクのバランスの中で異様に難しいのです。特に小室さんの場合、M&Aが専門と聞いています。この分野はNYの弁護士では花形中の花形。一方、その業務は24時間仕事できますか、24時間以内に48時間分の業務をこなしてください、という世界です。そこに至るにはまず、異業種を含めたあらゆる業界の知人を100人作り、最新の話を理解し、マスコミには出ないような話を聞かせてもらえるようなコネクションが必要なのです。

それをするには北米では人間関係の構築からスタートします。「駐在員、1年目で英語、2年目で社会の仕組み、3年目で人脈づくりに励むけど4年目でご帰国」と私が揶揄するのは海外での仕事はそれぐらい難しいのです。日本で実業経験がない人がほかの国に行って花形の仕事なんて本人が苦しくなるだけです。私は小室氏が司法試験に受かってそこでようやくスタート台に立ち、3年もがいてようやく芽が出るかどうかだと思います。その点では眞子様とのご結婚は正直、小室さんのキャリアだけを考えれば早すぎでした。ドラマ風に言うなら「俺を一人前にさせてくれ。それまで3年間、待ってほしい。自分に課した目標に到達したら必ず迎えに来るから…」なんですがねぇ。

バイデン大統領の苦悩

これほど急速に不人気になるとはバイデン大統領本人も予想していなかったでしょう。11月3-4日に調査した最新の支持率は41%で不支持率は50%と出ています。この手の調査はアメリカには数多いのですが、様々な調査をプロットして平均を出した調査では支持43%、不支持50%でそのトレンドは7月ぐらいから顕著になっています。一年後に迫る中間選挙は完全に赤信号です。そもそもアメリカ民主党は大統領選挙時、極左から中道まで、また様々な背景の方々が同じ党内でも強い主張でお互いが譲らない姿勢が強まっていました。

日本を含め世界先進国はどこでも似たようなものですが民主党は都市での基盤が強いとされます。理由は従業員の立場により近い政策だからなのですが、底無しのポピュリズムは世の中に存在しないのです。そしてバイデン政権の最大の弱点は党内の綱引きで決められないことが多く、子育て支援も気候変動対策もさらにはFRBの議長の任命すら遅れに遅れています。もっと言うなら中国とディールを模索していることに対して弱腰外交が見え見えなのです。台湾にも良い顔をするけれど中国とも戦わない、アフガンからは遁走しました。強いアメリカは何処に行ったのでしょうか?

個人的に感じるのはバイデン大統領は歳を取り過ぎた大統領である点です。11月20日で79歳。もちろん、リタイアがない社会の実現としては結構な話ですが、この歳で激務の大統領のポジションをこなすのは体力的にも思考的にも厳しいです。老巧、賢者のプロ政治家であることは十分認めますが、今の複雑怪奇な社会をまとめる権力者としては十分ではありません。そしてそのサポーターであるカマラ ハリス氏の支持率も42%でその下落が止まる気配はありません。バージニア知事選を落としたバイデン大統領とアメリカ民主党は土俵際に追い込まれたようにすら見えます。

後記

「欲しいものがない」。最近私の周りで時々耳にする言葉です。それも女性の話です。洋服もバッグも靴も今更感半端じゃありません。おまけにアップルの最新型スマホiPhone13も売れ行きが厳しいその理由は目新しさがないから。消費とはないものや人より良いものをもつことで優越感を感じるものでした。でも過去形。自動車だってそのうち、何でもよく見えるから何でもよくなる時代が来ます。人間の心理はわがままだと思います。となれば飲食、旅行、サービスにお金が向かうのでしょうか?それもコロナで価値観の大きな変化があったような気がします。読めない世の中になりました。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年11月6日の記事より転載させていただきました。