価値観が変わることは「変節」ではなく「進歩」

20代からずっと金融資産を使って、インデックス投資を中心に投資を行ってきました。

CHUNYIP WONG/iStock

ところが、40代後半に入った2011年から投資対象を広げ、不動産投資を始めました。すると書籍の読者から「変節した」と批判され、困惑したことがあります。

リーマンショックによってマーケット環境が大きく変わり、私自身の年齢も考慮し、投資対象を広げただけのことだったからです。結果的には、批判に関係なく自分自身の価値観の変化に忠実に従ったことが良い結果になりました。

変わったのは、投資手法だけではありません。住む場所も変わりました。

郊外の持ち家派から都心部の賃貸派になり、以前の目黒の戸建ての自宅は売却。現在は投資用物件からの家賃で、自宅の家賃を支払うようにしています。

また、借入に対しても「借金=悪」という価値観から、良い借入と悪い借入があるという考え方に変わりました。

「信用力のマネタイズ」という価値に気がついたことで、生まれてから50年間ずっと借入したことが無かったのに、この7年で約10億円の借入を行いました。

更に、コストを下げるだけではなく、費用対効果から考えるという新しい価値観も生まれました。例えば、クレジットカードです。

以前使っていた年会費無料のクレジットカードは解約し、年会費143,000円のプラチナカードに乗り換えました。年会費が高額でも、それ以上の利用価値があり、「ベネフィット>コスト」と判断したからです。

一度決めた価値観にこだわり、変化を恐れると、環境の変化や、自分自身のライフスタイルの変化に対応できなくなってしまうリスクがあります。

自分が変わることを「変節」とネガティブに捉えるのではなく「進歩」とポジティブに捉えるべきなのです。

これからも自分の価値観が変わることがあると思います。変えることを躊躇するのではなく、その時の自分の気持ちに誠実に寄り添うように生きていこうと思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年11月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。