「上から目線の人」で嫌われる人につけたい治療法

黒坂岳央(くろさか たけを)です。

日本では謙虚な姿勢でいることが好まれる。社会的に成功したり、大きな資産を持っている人がえらそうな態度をせず、柔和な態度でいることを良しとする文化が我が国にはある。

その一方で、えらそうな態度をとる人物は嫌われがちだ。えらそうな態度にもいろんな種類があるが、中でも最上級に忌避されるのが「上から目線」だろう。我が国では上から目線な態度を取るメリットはほぼない。極一部の人からは「頼りがいがある」と思われるかもしれないが、母数の割合から例外にあたると言っていいだろう。時間と労力をかけてわざわざ悪評を積み上げる行為は愚かと評価せざるを得ないため、本稿ではその治療方法も含めて論考したいと思う。

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尚、統計データやファクトによるバックアップはない、個人的見解に終止する記事となる。この点を了解の上で読み進めていただきたい。

上から目線の人の特徴

上から目線の人は筆者が会社員時代もいたし、経営者となった今も接することがある。特にリアルでは筆者はナメられやすい人物に映るようで、初対面では普通の人に思える振る舞いをする相手も、時間が経つと上から目線気質に変貌していった自己体験がある。

まず上から目線に感じる人は「こうするべきだ」と、こちらが頼んでもいないズレたアドバイスを提案してくる。それから「自分は上であなたは下」と上下関係を明確化しようとし、基本的にモノの見方はネガティブで、相手のダメなポイントを素早く、包括的に拾い上げる観察眼を持っている。

筆者が会社員の頃は上司がそうだった。「お前はこんなこともできないのか?オレがお前の立場だった時はその3分の1の時間でこなしたぞ」「お前はこういうところがダメだ」と自分がいかに優れているのかをPRしていた。もちろん、彼には優れた部分もあったし、仕事はとてもできる人物でその点についてのリスペクトと感謝は忘れていない。だが、客観的に見てこのような属性は、周囲のヘイトを集める非生産的な行為になっていたと分析できるのではないだろうか。

今は会社員の立場ではないため、上司はいない。だがビジネスを通じて、上から目線でコメントを受け取ることがある。「英字新聞は英語学習素材に有効だ。無料のオンライン記事もあるが、あえて有料の紙媒体を購読することで身銭を切る意識的コミットメントが生まれる。ぜひおすすめしたい」と言えば、「お前は何も分かっていない。無料のオンライン記事の方がお金がかからないというメリットがあるではないか」と高圧的なメッセージを送ってくる。こちらは当然にそのウィークポイントを踏まえた論理展開をしているのに、不思議な解釈だと感じてしまう。

また、このようなビジネス記事を書いたり、ビジネス講演に登壇する時にも「あなたはまだビジネスの経験が浅いから知らないだろうが…」と前置きをしてアドバイスと称した自慢話をしてくる人がいる。こうした気質の人物は、相手とのコミュニケーションの目的を「自分の承認欲求を満たすため」に主眼が置かれていると感じるのだ。

上から目線では損をする

上から目線の態度を取ることは、信用経済社会ではメリットがない。そのため、このような態度を取り続けることは得策ではないと感じる。

まず、上から目線でいると人が離れていくという、大きなデメリットがある。そのような気質の人物と関わりを持ちたいと思う人は極めて少ないためだ。あえてこの態度に積極的に惹きつけられる属性があるとすれば、「自分がマウントを取れる相手はどこかにいないか?」と同じく上から目線の人物であり、承認欲求を満たせる相手を探す人物くらい、だろうか。「類は友を呼ぶ」という、人間社会におけるコミュニケーションメカニズムはこの場合でも遺憾無く機能するものだと驚かされる。

3つの治療方法

上から目線の人は、自分が社会的に疎まれる態度でいることに気づいていないことが多いと感じる。始終、自分が他の人より上であることを確認する作業に忙しいために、相手の立場で言われた側の気持ちを想像する余裕がないためだ。本稿に有意義さを持たせるため、以下、個人的に治療法を3つほど展開したい。

まず1つ目はどのような振る舞いが「上から目線」と判定されるかを理解するための知識を得ることだ。端的に言えば客観性を得るということである。もしも、自分に該当する点があるなら、その振る舞いを見直すことで治療につながるのではないだろうか。

そして2つ目は自信を取り戻すための努力をすることだ。上から目線という態度は、自信がなき自己承認欲求が満たされないことに起因している。そのため、マーケットで自分の価値を高めるためのスキルアップに勤しんだり、ビジネスを通じて相手から「ありがとう」という感謝の言葉を集めることで自己愛が満たされ、上から目線という手段で自分を気持ちよくする必要性はなくなるのではないだろうか。

最後の3つ目は、自分のことで忙しくすることだ。ビジネスや自己研鑽で忙しい人は、文字通り承認欲求を満たす暇がない。目の前のタスクや自分の人生を生きることに必死になっている人ほど、他人に目が向かないだろう。筆者はコールセンタースタッフをやっている時は、社内の話題は人間関係の悪口が多かった。「あいつは新人のクセに挨拶の声が小さい」など他者評価をする人が多かったように思う。だが、外資系企業で専門職をやっている時期は「MBAを取るにはどのスクールが良いか?」「この課題を解決するためには、どうアプローチすればよいだろう?」といった自己研鑽や課題解決の話題が多かったと記憶している。

上から目線にも治療法はある。知識を得て、生産的な環境を構築して自らを投入することで善処が望めると思っている。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。