中国では習近平氏があと5年、いや10年どころか終身トップすら可能な布石をうった6中全会が行われました。共産党支配下でそのトップが当分先まで変わらない、しかも世界有数の巨大国家の話です。その集中する権力の下、10数億の民は司令塔から発せられる指示に忠実に従い、罪を犯すものは中国のどこにいても逃げられない、まさにジョージオーウェルの「1984」の世界を現実に受け入れ、それが着実に進行しています。
一方のアメリカ。二大政党が拮抗し、国を二分化するともいわれます。与党の民主党、そしてそこから輩出されたバイデン大統領は、中国とは真逆のあまりにも多い意見に翻弄され、答えが出せない状態になっています。社会的議論に絶対的正解はありません。どの意見も一定の論理性はあるものでむしろ非合理性やデメリットの大きさがその批判対象となります。アメリカのように国民が直接的に政治に参加し、国を決めていくという姿勢は民主主義の根幹をなすものでしょう。
では我が国、日本はどうなのでしょうか?私の感覚は理念はアメリカの標榜する民主主義、実態は上からの指示を必ずしも否定しない日本独自の社会主義的体制を受け入れています。習近平氏が目指す「共同富裕」と言うのは実は日本が一番望んでいるスタイルで一億総中流とどれだけ相違するのか、案外十分な論理的説明はできないのではないでしょうか?
日経が世論調査を行いました。内閣支持率は61%で前回の59%からほぼ変わらず。むしろ注目したいのは不支持率です。菅政権末期の各社世論調査の不支持率は60-70%もありました。今回の日経の調査ではわずか27%。政権初期は不支持率が低いのは当たり前なのですが、今回も明らかになったのは日本は自民党が大好きであることを裏付けています。
なぜ、好きなのか、というより他を知らないし、政権運営には素人という方が正解なのかもしれません。同じ日経の調査で立民の代表選に関してふさわしい人は、との質問に4割が「わからない」と答えています。出てきた名前は蓮舫氏と長妻昭氏。お二人が出馬するかどうかは不明で19日告示と日にちが迫ってきている割には自民党の総裁選とは雲泥の差の盛り上がり様です。
私は立民を「枝野党」と申し上げました。他にも動物園の獣のように吠える著名議員は何人もいますが、遠吠えばかりで国民のハートに迫る政策を出せないのは結局、政策の差別化が出来ないことが全てなのだろうと思います。
もう一点、本ブログの選挙総括の際に維新は将来自民党と双璧になるかもしれない、と申し上げました。私の予想は維新は国民民主を実質併合し、まずは議員50人を目指すのではないかと。というのは50人いると予算を伴う議員立法を出すことができます。その流れを汲んで若い人を取り込む中道右派の革新政党として自民の中道右派の保守との対立軸をまずは作ってみたらどうかと思います。
政治ですので思うところに対する個人差は千差万別。よって私の考えに同意する人もいるかもしれませんが、絶対反対という人はかなりいるはずです。しかし、そのぶつかり合いが大事だと思うのです。つまり、自民党が「慣れた手つきで」「いつものように」「過去に踏襲し」政治を進めるのではなく、彼らに「やばい!」と思わせるほどの対抗馬を作り、国民を巻き込んだ議論を起こし、政治を洗練化させるべきだと私は思っています。
岸田文雄。実をいうと私、時々、名前が出てこないんです。ボケたかな、と思うのですが、安倍さんも菅さんもすーっと出ます。岸田さんの名前のインプットが十分ではないようです。先日、日本の方たちと話していて「えーっと、何ていったっけ、今度の首相」というのを聞いてほっとしたのです。私だけが覚えられないのではないと。
しかし、この手の方の政権は長くなるでしょう。岸田さんが総裁選を勝ち抜いた時、私は2-3年やるのでは、と申し上げました。「可もなく不可もなく」。つまりエリートサラリーマンのような政治家であると思います。それは政治家や政党間のバランスをとることには秀でているでしょう。しかし、国民が本当に刺激のない無味乾燥の政治を望んでいるとは私は思えません。
ピリッと辛く、酸味も効いているけれど、ほのかな甘みがある人間による人間のための政治が進んでくれればよいと思っています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年11月12日の記事より転載させていただきました。