アゴラ読者にコンシューマゲームを勧められるか考えてみた

金尾 泰之

この2年間、コンシューマゲーム(家庭用ゲームやPCゲーム)の勢いが止まらない。その有力な要因とされているのが、昨年前半から始まったいわゆる「コロナ禍」に伴う国民の行動制限が、わが国のみならず世界規模で本格化されたことである。多くの人が自宅での生活を余儀なくされ「巣ごもり需要」が増加、娯楽の選択肢としてゲームを求める人が増えたのだ。

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ゲームをプレイする動機としては、アゴラ読者方にはいわゆる一人遊びが思い浮かぶのではないかと思う。実際長引く行動制限に対して、ストレス解消や気分転換を求めるのは自然な感情であり、ファミコンに始まるゲームの遊び方としては最もポピュラーなものだろう。しかしゲームをそれなりに嗜んできた筆者は、ゲームのプレイ動機として、もう一つ大きなものを挙げておきたい。それは「他者との交流・コミュニケーション活性」である。

ゲームでのコミュニケーションといえば、ゲーム仲間の家を訪問し1台のゲーム機を共有して遊ぶ、といった光景がまず思い浮かぶだろうが、コロナ禍ではそういった遊び方には制限がつきまとうのは想像に難くない。ではどのようにゲームを用いて他者との交流を図るのだろうか。

実はコロナ禍の前から、ゲーム機もPCやスマートフォンと同様にインターネットへの接続が当たり前となっている。これによりネットを介して、同じゲームを遠い距離を隔てたプレイヤー多人数とリアルタイムで対戦・協力プレイを行うことができる。プレイヤー各々が持つスマホのトークアプリ(ゲーマーの間ではDiscordというアプリがよく使われる)によるチャットやWeb会議を併用し、オンラインでのゲーム交流を図るという構図だ。

また最近は既に一定の知名度を獲得しているYouTuberのような動画配信者や芸能人らの中に、自らのゲームプレイを生配信する有名人(Hikakinや本田翼氏など)も複数おり、スポーツ中継のような感覚でそういった方々の動画を鑑賞しつつ、動画サイトのチャット機能などを使って交流する人々も多い。

では仮にアゴラ読者方の中で、ゲームを用いた交流に興味を持った方にはどのようなゲームをお勧めできるのか、を考えてみたい。

まず単純に世界的な知名度の高いゲームジャンルとして、e-Sportsの種目として有名な「Street Fighter」に代表される対戦格闘ゲームがあるが、これはテクニックや世界観が重厚長大化・飽和している傾向がある上に、日本ではe-Sportsへの関心が薄い(サイバーエージェントやガンホーなど、推進する企業はあるが)という事情もあるため、心理的ハードルが高いのではと予想される。よって、現状e-Sportsに限らず知名度の高いゲームタイトルに共通する要素を考える、という方向から切り込んでみよう。

筆者としては2つのキーワードが存在するものと考える。1つは箱庭。これは舞台となるメタバース(仮想空間)に任意のオブジェクト(小道具や背景など)を設置して、自分好みの世界観を作り上げる要素である。これを前面に押し出したゲームとしては、「あつ森」こと「あつまれ どうぶつの森」や「Minecraft」が挙げられる。

もう1つはバトロワ。限定された戦闘エリアで武器を現地調達し、最後の1人もしくは1チームが生き残るまで戦い合うというものである。こちらは「PUBG」から始まり、「Fortnite」や「Apex legend」が人気を博している。

特に「あつ森」や「Fortnite」については、ゲーム機の中でも比較的入手機会が多かったNintendo Switchで展開され、他タイトルと比較して世界観がポップで親しみやすいことから子供の支持が高く、子供や孫世代の話題からゲームに触れていない上の世代もタイトルは知っている、といった流れが定着しているように思う。

Nintendo Switch本体
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「あつ森」は一時期メディアで大きく取り上げられた関係でそのメルヘンチックな雰囲気の認知が高く、「Fortnite」は神戸にある60歳以上専用の会員制e-Sports施設で人気を博しているといった実例があり、実際にプレイヤーとして参入するハードルもそれほど低くないものと思う。

コロナ禍も既に1年半を超えた現在、経済活動を優先すべく行動制限を撤廃する国も増えており、時間はかかってもネットを介さないリアルタイムでのコミュニケーション機会も戻ってくるだろう。Fortniteのように、ソフトが同じなら違うゲーム機(スマホアプリ版も含む)同士で通信・対戦ができるクロスプラットフォームと呼ばれるソフトも徐々に増えており、交流のハードルも下がっている。

読者方もその時には久方ぶりの、あるいは新たな出会いの場として、ゲームの世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか。