(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)

気候変動への関心が高まる中、日本の製造業の最後の砦である自動車産業の運命に関心が集まっている。COP26では「2040年までにガソリン車の新車販売禁止」という合意が行われたが、日本もドイツも署名しなかった。

これを「日本は遅れている」などと批判する人がいるが、ドライバーは社会奉仕のために車を買うわけではない。高くて不便な電気自動車(EV)を今あわてて買う必要はないが、長期的にはどうなるだろうか。脱炭素化で自動車はすべてEVに置き換わるだろうか?

エンジンからモーターへ

まず現状を見てみよう。2020年の日本のEVの販売台数は1.5万台、乗用車の新車販売台数の0.6%だが、世界的にはEVへの転換が急速に進んでいる。

図1はブルームバーグの見通しだが、2040年までに電気自動車(EV)とプラグイン・ハイブリッド(PHV)を合計した電動車(ハイブリッドを含む)の比率が全世界で半分を超えると予想している。