ふるさと納税を毎年続けるのは「罪深い」行為?

Yusuke Ide/iStock

今年もふるさと納税の季節がやってきました。

今年はG-Callという会社のサイトから申し込むことにしました。こちらでは、アメリカンエキスプレスと提携して、ふるさと納税の申し込み200円ごとに5ポイントもらえるようになっています。ダイナースにも特典があるようです。

毎年申し込んでいて、こんなこと言うのもなんですが、ふるさと納税の手続きをするたびに、いつも罪悪感を感じています。

ふるさと納税とは、厳密には納税ではなく寄付です。自分が選んだ自治体に寄付金をすることで、所得税の控除が受けられる仕組みです。

という事は、ふるさと納税をやればやるほど、自分が住んでいる自治体の税収が減っていくということになります。

そしてもう一つの罪悪感は返礼品です。寄付した自治体からは様々な返礼品が送られてきます。

私を含め、多くのふるさと納税利用者は、その自治体に寄付をするのが目的ではなく、返礼品目当てで申し込んでいるのだと思います。

数年前に比べると過剰な返礼品競争はなくなりましたが、それでもウニやイクラ、シャインマスカット、うなぎ、牛肉といった返礼品が、ほとんどタダで手に入ることには変わりありません。

返礼品のコストは寄付を受けた自治体の負担になります。商品を調達し、送付する。その事務の手間や管理も人手がかかり、ふるさと納税サイトにも出店料を払っているはずです。

コスト負担が大きく、控除された税収の一部しか寄付先の自治体の収入になりません。何とも非効率な仕組みなのです。

「罪深い」と思うなら、やらなければ良いと突っ込みが入るかもしれません。ただ、これは「税の歪み」であり、個人投資家の資産を増やすお手伝いをしている立場からは、自ら利用して情報を伝えるべきと考えています。

せめて、送られてきた返礼品は、その自治体に感謝しながら、無駄にしないよう大切に頂こうと思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年12月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。