12月7日のMBSの報道によれば、大阪市の松井一郎市長が、「10万円一括給付」をいったん決定しました(現在は政府の返事待ちでしょうか?)。
12月8日の静岡報道によれば、静岡県島田市の染谷絹代市長が、「10万円一括給付」を決定しました。
他方、岸田首相は「地方自治体の実情に応じて」現金での給付を認めましたが、10万円一括支給については明言を避けています。
本件について、給付方法も含めた内容を審議する基礎自治体の議会の現場では、政府の方針が定まらないために、審議が混乱しています。そのあたりの「地方のリアル」については、後段説明します。
クーポンの「無駄」と「ニーズのズレ」
前提として、このような継続性のない「ワンタイム給付」の意義に関する議論は一旦おきます。すでに政府が満額国の予算で「実施する」と言っている以上、佐倉市議会議員としては「わが市では実施しない」という選択肢はないと考えています。
しかし、国の予算も元をただせば税金ですから、極力無駄な使い方はしたくない。
さらに、染谷絹代市長の言う「現金給付とすれば、新学期に間に合うように保護者の方々に使っていただけるのでは。クーポンだと新学期に間に合うかわからない」という発言も、私には説得的でした。
その意味で、「10万円一括給付」は、最も無駄が少なく、ニーズにあった給付方法だと思っています。
もちろん、現金で配ると子どものために使われず、貯蓄やパチンコに回ってしまうケースもある、という批判があるのは承知しています。しかし、「本来の目的で消費してもらう」ためだけに、印刷費等の事務費で967億円の税金を費やし、保護者のニーズを外した時期に、市役所の多大な労力を使って給付をするのであれば、それは愚策なのではないでしょうか。給付目的で真水の「967億円」という予算があるのなら、印刷費より、「18歳以上の若者」や「コロナ禍で経済的な打撃をうけた国民」に使ってほしいと考えます。
例えば佐倉市の今回の給付では、想定では2万3千人の対象者に5万円を配るのに、約11億5千4百万円かかる想定です。その費用の内、約4百万円が通信費等の事務的経費ですが、仮に給付費用が5万円から10万円になったとしても、かかる事務的経費は同じです。
混乱する市議会審議と動画公開の必要性
佐倉市議会では、先の12月7日、「文教福祉常任委員会」で給付方法について審議されました。しかし、公明党の岡村委員長は、「5万円の現金給付のみを議題とし、それ以外の件についての発言は認めない」という委員会運営をしました。
それに対し、同委員会の委員である無会派の稲田議員から、先の島田市の実例を元に10万円一括給付の可能性を質問しようとしたところ、岡村委員長はその発言を認めず、質問できませんでした。
議案の事務に関する質問を受け付けないという運営もさることながら、大声で稲田委員の発言を制止する振る舞いは、議論を総理する委員長の振る舞いとしては眉をひそめざるをえないものでした。
ちなみに、本件について質問を試みたのは無会派の稲田委員のみ。その他「公明党と一糸乱れぬ賛否行動」で議決権を握り続けている「さくら会、自由民主さくら」の各委員とあわせ、ひまわり会の委員の5名は全員発言なしでした。
クーポン施策を推し進める公明党としては、今回の岡村委員長の振る舞いは満点だったのかもしれません。しかし、一般市民がその委員会を見たとき、どう思うでしょうか。
こういう時の委員会こそ市民の監視の目が必要なのですが、委員会等の動画公開を求める陳情や請願は、ご存じの通り佐倉市議会では否決され続けています。なぜ否決されるか、以上からもお判りいただけるかと思います。