高まる金利リスク、危険な1970年代が戻ってくる

(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)

世界的にインフレ懸念が強まっている。アメリカの10月の消費者物価上昇率は31年ぶりに6.2%になり、FRB(連邦準備制度理事会)は政策金利の引き上げを検討している。日本でも10日に発表された11月の企業物価上昇率は、41年ぶりに9.0%になった。

今回のインフレの原因は一時的なサプライチェーンの混乱だという見方もあったが、12月になってFRBは「インフレは一時的な現象ではない」と見解を改めた。しかし日本の消費者物価上昇率は、11月の速報値でも0.1%である。何が起こっているのだろうか。

「狂乱物価」の原因は過剰流動性だった

世界的なインフレの直接の原因は、10月の当コラム「脱炭素化で『新型スタグフレーション』がやってくる」でも指摘したように、ヨーロッパを中心とする脱炭素化の動きで化石燃料への投資が減り、資源価格が上昇したことだ。

しかし原因は、それだけではない。ハーバード大学のケネス・ロゴフは、今回のインフレが1970年代に似ているという。これは一般には「石油ショック」だと思われているが、原油価格の上昇はきっかけに過ぎない。