晴海フラッグ集団訴訟を起こす購入者の「論理」

東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地に建築される晴海フラッグ(写真)。このブログに頻繁に出てくるマンションですが、その引き渡しは2023年3月から1年延期されることになっています。

この引き渡しの延期に対して、購入者27人が損害賠償を求めて、今週集団提訴しました。

不動産会社など10社に対し、工期を短縮して予定通りの2023年3月までに引き渡すことを要求。もし、遅れる場合は入居までの賃貸費用負担など合わせて7600万円の損害賠償を求めるそうです。

オリンピック・パラリンピックの延期の影響は仕方ない面がありますが、企業努力によって工期を少しでも短縮し、引き渡し期間を前倒しできるようにすべきかもしれません。1年延期を機械的に決めて、木で鼻を括ったような対応をしているように見えるのは、マイホームを待ち望んでいる購入者の感情を理解しない官僚的な対応です。

また、マイホームというライフプランに大きな影響がある高額の買い物なので、引き渡し延期の影響は切実です。子供の学校の問題や、入居見込んで賃貸に移り住んだ自宅の家賃の負担など、精神的・経済的に当事者の負担はかなりのものと言えます。

しかし、今回の晴海フラッグの引き渡し時期延期に際しては、希望すれば手付金の全額返還によるキャンセルも可能でした。また、売買契約書には引き渡しが遅れる可能性に関しても記載されており、その場合の免責の条件も決まっているはずです。

引き渡しが遅れることが分かった時点でキャンセルせず、契約書に書いてあること以上の損害賠償を求めるのは、無理があるような気がします。

ちなみに今回の集団提訴を担当しているのは、ワイン会で良くご一緒する知り合いの敏腕弁護士です。

私は提訴するメンバーには加わっておりませんが、購入者の1人として、これからの裁判の推移をさまざまな意味で興味深く見守っていきたいと思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年12月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。