2022年、世界情勢のリスク要因とは?

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ウォール街からの予想とあって、ブラックストーンのバイロン・ウィーン副会長による10大ビックリ予想には地政学的リスクを含みませんでした。では、ユーラシア・グループの10大リスクや英フィナンシャル・タイムズ紙が挙げる注目点はどうなのか、拾っていきましょう。

チャート:ユーラシア・グループの10大リスク
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ユーラシア・グループで米中の台湾海峡をめぐる対立はランクインしていません。しかし、レッド・へリングス(リスクもどき)には入っていました。中国共産党は2022年秋、5年に1度の党大会を開き習体制の権力固めを図るとあって、わざわざ米国に喧嘩を売るようなリスクは冒さないという見立てとなっています。

英FT紙が送る2022年世界情勢の注目点20でも、「少なくとも今年は」中国による台湾の侵攻はないと予想ロシアによるウクライナ侵攻も、予想していません。理由として「ロシア側の被害が大きくなる上、ウクライナを不安定にし同盟国からの軍事援助を思いとどまらせ、NATOを威嚇し、ドンバスの戦闘を終わらせるための協議でさらなる譲歩を強いる」など、大きな利点がある説明します。

ユーラシア・グループと英FT紙の共通点としては他に、米中間選挙での民主党の敗北が挙げられ、上下院共に共和党に与党を奪回される見通しとなっていました。2021年8月のカブール陥落以降、バイデン大統領の支持率が急低下し足元でも42.9%という状況に加え、ブルーステートのバージニア州知事選でも民主党有力候補が黒星を喫しただけに、予想の範囲内というべきでしょう。

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ちなみに、英FT紙の世界情勢の注目点20のうち2021年は17つ的中させたのだとか。今年も期待できそう?

もうひとつ、英FT紙が掲げる2022年経済の注目点10をみると、コロナ禍のトレンドとなりつつある少子化加速が入ったほか、中国経済のピークアウトなどが入りました。2021年と比較すると、世界経済をけん引するような勢いは感じられず、むしろ後退しそうな雲行きです。

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少なくとも、米株と日本株市場は幸先の良いスタートを切った2022年。今年はどのようなドラマが生まれるのか、せめて平和に心穏やかに1年を過ごせますように。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2022年1月4日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。