ネグレクトの連鎖をどう変えるか。

大阪のとある保育園に行ってきた。ここは、虐待、特にネグレクトの親が少なくない園だ。半分以上のお母さん達がシングルマザーで、養育費をもらえておらず生活にも困窮している人も少なくない。

とても可愛い子供たちばかり。ぱっと見て、ああこの子が親からネグレクトされているんだなとはわからない。でも、園長先生曰く、家でご飯がもらえず園の給食を待ちわびている子が沢山いるという。そういう子の親自身も親からネグレクトされて育った人が少なくないそうだ。

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食事をするとか、時間になったら登校するといった「生活習慣」が存在しないため、ネグレクトの子は不登校になりがちだそうだ。「負の連鎖」とよく言われるが、本当なのだ、とショックだった。この園の先生たちはお母さん達の事情も子供たちのこともわかっていて、いつでもこの園に来ていいんだよと子供たちにもお母さん達にも言い聞かせている。

子供たちは、私が行くとすぐに寄ってきた。知らない大人を警戒するのが普通だと思うが、きっと大人からの関心や愛情に飢えているが故なのだろう。園を運営する理事長は、本当は、もう一つ、いつでもご飯を提供できる施設を作って子供たちを受け入れたい、お母さんたちも受け入れたい、とおっしゃっていた。「そういうことができる補助金はないんでしょうか。」と言われた。

この負の連鎖を断ち切り、子供のポテンシャルを伸ばしてあげるためには、現実的には施設の介入が必要になる。実際に、通園していた園児で、すぐ見て虐待と判断して児相に送ったケースは何件もあるそうだが、施設で正しい生活習慣を覚え、不登校でなくなり、大学に行った子もいるという。

しかし、せっかく施設に送っても、多くの場合親が子供を必死に取り返しにくるそうだ。それは、子供と一緒にいたいからではなく、子供と一緒に住むことで貰える児童手当欲しさが理由。なぜなら、お母さんはそれ(児童手当)が生活費だから。夜の仕事についているお母さんに、園長先生は聞いたことがあるという、「どうして昼の仕事にしないのか」。

そしたら、「先生、私はろくに小学校も中学校も行ってないんですよ。まともな仕事に就けるはずないじゃないですか。」多くの母親は、夜の仕事、風俗、または男性パートナーを見つける(頻繁に変わる)ことで生活しているそうだ。

日本に、いつからこんなに大変な思いをする子達が増えたんだろう、昔からあったのだろうか。

私は、幼児教育の義務化を推進したいと考えているが、それはこうした子供たちにこそ必要なのではないかと改めて思った。それから、養育費を自治体や国が立て替えて代位請求する制度がやはり必要だ。


編集部より:このブログは参議院議員、松川るい氏(自由民主党、大阪選挙区)の公式ブログ 2021年1月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は、「松川るいが行く!」をご覧ください。