「ファーストペンギン」になりたがらない日本人

日本人の一般的な特性として、決められたことを几帳面に完結する能力は高い。逆に新しいものに迅速に対応するのが苦手という傾向があります。

Zoeysmith/iStock

21世紀に入ってからの日本経済の停滞の理由の1つは、グローバル経済のデジタル化という変化に日本社会が迅速に対応できなかったことにあると思っています。

最近の新型コロナウィルスへの対応を見ても、ルールを変えるのに時間がかかり、感染環境に対応できていない印象を受けます。

これだけ重症者数と死亡者数が他国より少ないのに、医療体制が逼迫している。これは、そもそものシステムに問題があると考えるのが自然です。

しかし、相変わらず今までと同じやり方の中で、何とか解決しようとするのが日本流です。

このように日本人が変わらない理由の1つは、最初に言い出しっぺになる事にリスク高いと感じ「ファーストペンギン」になりたがらないところにあるのではないでしょうか。

「ファーストペンギン」とは、ペンギンの群れの先頭に立って崖から飛び込む、最初のリスクテイカーのことを指します。

このような人と違うことをやることにストレスを感じる社会の同調圧力は、日本人が生まれつき持っているものではなく、教育によって形成されていると思います。

最近は日本の教育も変わりつつあるのかもしれません。しかし、少なくとも私の世代の硬直的な価値観は、画一的な人材を生み出す集団主義的な教育によって作られたものです。

だとすれば、今の日本の教育に欠けているのは、人と違うことをリスクをとってやることに対する評価を高める。人と違うことを個性として認めることです。

そんな「ファーストペンギン」がもっと評価される社会になれば、日本社会は変わっていくと思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年1月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。