「表現の自由」とインターネット誹謗中傷・人権侵害対策

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

昨日のブログでお知らせしたとおり、党政調会に「インターネット誹謗中傷・人権侵害対策PT」が立ち上がり、大阪府における条例制定・国政における議員立法を目指していきます。

メンバーには「表現の自由」の課題に長年携わってきた、弁護士でもある松本ときひろ品川区議と私が入っています。

すでに松本区議は「私が信頼を失った際には次の世代に表現の自由を守ることを委ねます」と悲壮な決意を綴っていますが(苦笑)。

このインターネット上における誹謗中傷・人権侵害対策においては、「表現の自由」との接触を避けることはできません。

勿論、規制やルールは少ないほうが良い。しかし現実に多発している被害から、目を背けることもできない。

ならば、政治はどう動くか。

ただ原理主義的に規制反対を叫び続けるだけでは、すでに押し寄せつつある波に流され、気づけば過剰な規制によって表現の自由が奪われることにもなりかねません。

むしろこの難題に早期から対峙し、主体的にルール作りに携わることこそが、「表現の自由」の問題に取り組んできた政治家の責任であると考えています。

PTでの本格議論はこれからとなりますが、概ねの方向性については

オーバーブロッキング・表現規制へと安易に繋がりかねないプロバイダ側への干渉ではなく、独立性・専門性を高めた第三者委員会の設置運用の下、警察や司法の関与と罰則を強めていく。

これが「表現の自由」へ配慮した上での、現実的な解決策ではないかと現時点で私は考えています。

こうした観点から岩谷議員と打ち合わせをし、早速、本日1月31日の予算委員会でいくつかの提案を行いました。

1.
インターネットによる誹謗中傷対策・削除要請の判断等を行う、弁護士や憲法学者によって構成された独立性・専門性の高い第三者機関の設置

2.
賠償額を引き上げるため、インターネット上の誹謗中傷・人権侵害行為に対する「懲罰的損害賠償制度」の導入

3.
被害の防止や被害回復のための「事業者拠出による基金」の設立

1番は、現状の人権擁護機関では不十分かつ専門性・実効性が不足していることに対する対案です。

現行の法務省に設置されている人権擁護機関が告発まで行うことは極めて稀で、特に名誉毀損・侮辱罪については親告罪であり、人権擁護機関が告発することはできません。

よって、インターネット上の誹謗中傷を専門に扱う第三者機関(人権擁護機関)を創設し、告発権限を付与して警察への対応などを求めることで、被害者の負担軽減と警察の捜査促進を図ることを目指すものです。

2番は、誹謗中傷における損害額が非常に低いことに対する解決策。警察が動くことはほとんどなく、民事訴訟をしても数十万程度の損害賠償に留まることから、「抑止力」としての機能が不十分になっています。

我が国の法理・法体系からすれば導入は容易ではありませんが、例えば「インターネット侮辱罪」という新法をつくり、その特定の法律・分野についてのみ損害相当額に上乗せした「懲罰的賠償」を課すというやり方が考えられます。

3番は少し違った視点で、国・行政やインターネット事業者が資金をお互いに拠出して基金を作り、被害者救済などに充てるというもの。アスベスト対策などで類似のスキームが取られていることが参考になります。

いずれも残念ながら現時点では政府から前向きな答弁はありませんでしたが、議員立法の策定に向けて、他にも多角的な視点から対応策を検討していきます。

被害を受けた当事者の方は勿論のこと、表現の自由を尊ぶ方、専門家や有識者など、様々な立場の方としっかりと意見を交わしてまいりますので、多くの方から忌憚のないご指導ご鞭撻をいただければ幸いです。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2021年1月31日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。