前回の記事のとおり、佐倉市議会では、これまで50年以上続けられてきた「本会議場での請願の説明」を「止める」決定が、さくら会の平野裕子議長によりなされました。
(前回:佐倉市議会:市民からの請願を「読み上げない」議長決定)
それを受けて、去る2月4日、私を含む議員10名で「本会議で請願の説明を継続するための方策検討を求める要望書」を、平野議員に提出しました。
他方、本件についてTwitterで、「佐倉市議会で何が起きているのか、よく分かりません。」という投稿をいただきましたので、本件についてもう少し詳しく説明します。
請願に対する本音と佐倉市議会における扱い
請願とは、市民から、紹介議員を介し、主に市政(当該行政)に対して、意見・要望・苦情などを書面で伝える手段です。
例えば、2月7日の千葉日報の記事で、統廃合が既定路線であった学校を小規模特認校として存続させることを決定した印西市の記事が掲載されていましたが、これも市民からの請願を印西市議会が可決したことにより実現したものです。
千葉日報:印西市の小規模特認校制度 学区外から就学可能に 地域協働の学校づくりを 佐倉支局・馬場秀幸 【ちば最前線】(有料記事)
このように、請願に対する議会の決定は、行政にとって大変重いものです。
多くの請願は、行政の決定に不服を申し立てる趣旨もにじんだりするものなので、市役所や教育委員会は「できる限り小さく処理したい」という思惑がどうしても発生します。
さらに議員としても、請願は「49対51」的な意見や要望もあるため、「賛成or反対」することも、その理由を表明することも、しんどい作業であることは否めません。事実、重要と考える請願は、賛否表明の前に市民の皆さまにヒアリングするのですが、「賛否真っ二つ」というケースはときどきあります。その場合、ヒアリングした市民の半数とは真逆な賛否を表明せざるをえないので、私としても苦しい心境になることは否めません。
また、私が紹介議員となった「常任委員会等のインターネットによるライブ中継及び録画中継の配信を求める請願書」は、さくら会をはじめとする反対議員17名からの反対討論は一切なく、「ひっそり否決」されました。
請願について理解するには、まず上記のような執行部と議員双方の「秘匿したい思惑」があることを確認しておく必要があります。
さて、この請願について、これまで佐倉市議会でどのように取り扱われていたか、というと
年に4回開かれる佐倉市議会定例会本会議において
- 招集日(本会議初日)に、議場で請願内容を紹介議員が説明したうえで、4つある常任委員会のうち、一つ以上の委員会に付託される。
- 当該請願を付託された常任委員会では、その内容を精査・審議したうえで、委員会内で討論→採決される。
- 議会最終日、当該請願を検討した常任委員会での審議結果(可決or否決)を委員長が発表したうえで、討論→採決される。なお、最終日には、請願は番号のみが読み上げられ、その内容も請願タイトルも読み上げられることはない。
という流れでした。
今回の議長決定は、上記の「1.」における「紹介議員による請願の説明」を、運用上割愛しよう、とするものです。
次回後編では、佐倉市議会での「紹介議員による請願の説明の割愛」の問題点を確認します。
(後編に続く)
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