佐倉市議会:市民からの請願を「読み上げない」議長決定

1月26日、佐倉市議会の会派代表者が開催されていました。

会議では、2月議会中に開催される予算審査特別委員会の委員選出や、2月議会の運営について議論されましたが、佐倉市議会の運営方法の大きな変更が決定されたのでお知らせします。

◆請願を本会議場で読み上げない議長決定

今後請願を議場で読み上げない、ということが会派代表者会議で突然決定されました。

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これは、議会を総理する議長権限において、さくら会平野裕子議長が決定した運用です。

議論を聞く限り、佐倉市議会においては、50年以上の長きにわたり本会議で「請願の読み上げ」が紹介議員により実施されてきましたし、私としてはそれが当たり前だと思っていました。

例えば私が紹介議員になった請願で言うと、「委員会等の動画公開を求める請願」も、議会初日に私がその趣旨を含め議場で読み上げ、傍聴者や本会議動画閲覧者、議決権を持つ議員たち、市職員等にその内容を周知しました。

では、なぜ読み上げを「辞める」こととしたのかというと、佐倉市議会の「議会会議規則」に則した運用に改めるため、とのことでした。以下、該当する規則を掲載します。

佐倉市議会会議規則 第35条
会議に付する事件は、第134条(請願の委員会付託)に規定する場合を除き、会議において提出者の説明を聞き、議員の質疑があるときは、質疑の後、議長が所管の常任委員会又は議会運営委員会に付託する。ただし、常任委員会に係る事件は、議会の議決で特別委員会に付託することができる。

佐倉市議会会議規則 第134条
議長は、請願文書表の配布とともに、請願を、所管の常任委員会又は議会運営委員会に付託する。ただし、議長において常任委員会又は議会運営委員会に付託する必要がないと認めるときは、この限りでない。

この二つの条文は、市議会議長会が公表している「標準市議会会議規則」に準拠しています。文言を読む限り、第35条の規定では「請願の委員会付託」は「会議(つまり本会議)」で「説明を聞く」等の処理の適用除外となっています。

では、なぜ適用除外になっているかというと、第134条にて、請願は「所管の常任委員会又は議会運営委員会に付託する。」とあるので、正式な手続きを経た請願は地方自治法や憲法の裏付けもあり、自動的に委員会に付託されるのであるから、あえて本会議場で「説明を聞く」などの必要はない、と解釈することが妥当だからです。

よって、この二つの条文を字句通り解釈したら、過去50年以上にわたって「本会議初日に請願内容を紹介議員が読み上げていた」佐倉市議会の慣例は、運用的には「規定外のことをしていた」という解釈が成り立ちます。

他方、そもそもの議会の役割や佐倉市議会基本条例の本義から考えれば、市民から市政への直接の意見や要望、苦情の要請である請願の内容を、広く、わかりやすく紹介することは重要です。

まして、佐倉市議会では請願が付託される委員会の審議について、動画公開は行われていないことから、本会議で紹介しなければ実質的な意味において市民がその内容を知る機会は大幅に減衰することになります。

これは私見ですが、確かに市民から上がってくる請願の中には、「これは国政の、しかも外交に関する内容なので、佐倉市議会で検討する請願にはなじまないのではないか」と思うことも多くあります。とはいえ、それは憲法でも認められている請願権の解釈の問題ですから、それはそれとして受け止めたうえで、批判すべきはしっかり批判すれば足る、という考えです。

◆議会会議規則に一文を追加する私案

現状の会議規則を前提とすると、「本会議での請願内容の読み上げ」が「規則外の運用」と解釈できることがわかりました。

他方、佐倉市議会にて50年続いた「請願内容の読み上げ」という慣例は、議会の公開原則という地方自治法や議会基本条例の本義に立ち返れば、望ましい運用と考えます。

上記により、私案として「佐倉市議会会議規則第134条の変更」を、議長に要望することにしました。

現状の第134条を再掲します。

【現状】
議長は、請願文書表の配布とともに、請願を、所管の常任委員会又は議会運営委員会に付託する。ただし、議長において常任委員会又は議会運営委員会に付託する必要がないと認めるときは、この限りでない。

この規則に太字の部分を追加すれば、それ以外の規則を変更することなく、本会場での「請願内容の読み上げ」が可能となるはずです

【改正案】
議長は、紹介議員による請願の説明の後、請願文書表の配布とともに、請願を、所管の常任委員会又は議会運営委員会に付託する。ただし、議長において常任委員会又は議会運営委員会に付託する必要がないと認めるときは、この限りでない。

以上について、ぜひ今議会で取り上げていただきたいと考えています。