(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
ロシアがウクライナに軍事侵攻する気配が濃厚となってきた。バイデン政権下の米国はその抑止に懸命だが、ロシアのプーチン大統領の強硬な態度に比べて断固とした姿勢がみえてこない。その米国側の弱気な対応がさらにロシアの軍事攻勢を煽っているともいえそうだ。
ウクライナをめぐり万が一にもロシアと米国が本格的な軍事衝突となれば、世界大戦にもつながりかねない。だがロシアの一方的な軍事侵略を許せば、国際情勢全体がさらに重大な危機を迎えることにもなる。ロシアの侵略を止める方法はないのか。
軍事行動と経済措置による抑止
バイデン政権は当面、ロシアの軍事動向に対して直接的な軍事抑止の措置はとらず、経済制裁を強める範囲に留まる姿勢を保とうとしている。
こうした状況下で2月初め、米国・ワシントンの大手シンクタンク「ハドソン研究所」が、軍事措置を含む「ロシアの侵略に対抗する12の政策選択肢」を発表した。同シンクタンクがこの1月から2月にかけて開催してきた研究会、討論会などで歴代政権の専門家たちが提案した政策や戦略をまとめた発表である。