親切なようで、ちょっと意地悪なANAとスタバ

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マイレージ会員になっているANAからお知らせメールが届きました。2月28日で有効期限を迎えるマイルなどのポイントに関し、新型コロナウィルスの影響を鑑み、1年間延長してくれるという連絡です(画像をブログで見る)。

一見、親切でありがたい対応のように見えますが、延長するためには、簡単な手続きが必要とのことです。月末までに、所定の手続きをしなければ、ポイントが失効すると書かれていました。

手続き自体はネット上でクリックするだけですから、極めて簡単です。不思議なのは、なぜ自動的に全員を1年間延長しないで、このような手続きをさせるかです。

手続きを忘れた人たちのポイントを無効にするメリットがあるからでしょうか?

しかし、手続きをしない人はそもそもポイントの事などあまり重視していない人ですから、あまりポイントも貯まっておらず、そのまま使われないで失効する人がほとんどたと思います。

逆に、かなりのポイントを貯めていたのに、うっかり忘れて失効してしまったら、何だか損をした気がして、もう使うのをやめようと思うかもしれません。

そう考えると、最初から全員に1年間の有効期限延長を自動的に行い、そのお知らせをする方が、ANA側にとってもメリットがあるのではないでしょうか?

似たようなトリッキーな仕組みは、スターバックスコーヒーのリワードと呼ばれる特典サービスにも存在します。

こちらはドリンクやフードを購入するごとにポイントが貯まり、それを使ってリワードと呼ばれる無料チケットがもらえるサービスです。

しかし、毎回貯まるスターと呼ばれるポイントには、リワードに交換できる有効期限が決まっています。それを超えると無効になってしまいます。また、交換したリワードにも期限があり、交換できる商品は最大700円で1つだけ。

有効期限の2重の制約を付けることで、こちらも無効になるポイントを増やそうという戦略でしょうか?

貯まったポイントをなるべく使われないようにする戦略だとすれば、なんだかちょっと意地悪な感じがして、逆効果ではないかと思ってしまいます。

それぞれの会社の真の理由がどこにあるのでしょうか?


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年2月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。