岸田政権にボディブローとなる林外相批判

岡本 裕明

北京五輪が20日で閉幕します。アメリカのデータ会社による事前の日本のメダル数予想は金3銀7銅9の19個、それに対して本稿を書いている日本時間19日早朝で金3銀5銅9の17個。カーリングが銀以上のメダルが確定しているのでこの事前予想に限りなく近くなりそうです。これがたまたまなのか、テクノロジーの予知能力なのか気になります。それにしてもプレスセンターの記者も中国の実情報道の代わりにビンドゥンドゥンの紹介では冴えなさすぎです。これほどインパクトがない五輪となれば冬季五輪の開催希望国は今後、ますます少なくなるかもです。

では今週のつぶやきをお届けします。

市場の配当株へのシフトは鮮明、ハイテクは気をつけよ。

10-12月期の決算発表のピークが過ぎました。同期の利益だけを見れば事前予想を超える堅調ぶりでしたが、数多くの株価が崩れたのは次期予想が全く冴えない点の影響は大きかったと思います。カナダで最も時価総額が高いITのショッピファイ社の決算はこの典型でした。決算前は1100㌦以上していた株価が決算発表で将来成長性が否定され株価が雪崩のようになり、3日で25%の下落となる830㌦程度まで下げています。繰り返しますが、カナダの最大企業ですらこれほど売られるのです。

アメリカでもっとも不振だったのはメタプラットフォームズ(旧フェイスブック)でしょう。連日売りが止まらず、決算発表後の2週間で37%下落しています。これら大企業には機関投資家のマネーが入っているのですが、それらが流出しているような下げ方です。明らかにマネーのパラダイムシフトが起きており、ハイテク中心のグロース株からバリュー株、さらに踏み込んだ配当株への資金の流れとなっています。例えばREITなどは値崩れしていません。

ハイテクの女王、キャシーウッド氏は「われわれが正しく、進行中の破壊的イノベーションが従来の世界秩序を打ち壊していくなら、こうした指標(=安全銘柄の指標)にこそリスクがあり、われわれのポートフォリオにではない」(ブルームバーグ)と鼻息が荒いのですが、私には引くに引けない中国外務省の声と重なるものを感じます。ハイテク企業の事業はテクノロジーの破壊的進化が早すぎて人間がキャッチアップできなくなり、壁にぶち当たっている点に気がつくべきです。私はそのギャップを埋めるのに5年ぐらいかかるとみています。当面はハイテク株の波は来ない気がします。

岸田政権にボディブローとなる林外相批判

ことの発端は15日、外相がロシアのレシェトニコフ経済発展相とオンラインで会合を行ったことです。「林大臣が、日本とロシアの経済分野での協力が両国の平和条約の交渉も含めた関係の発展につながるよう、対話の継続を呼びかけた」(NHK)とあります。経済協力を含めた両国関係発展のため、お互い頑張りましょう、というわけです。これに対して国内保守派から厳しい声が沸き上がり、高市政調会長は「G7の結束を乱そうとするロシアを利することになる。大変強い懸念」と厳しい批判を行いました。

林芳正外相 Oleksii Liskonih/iStock

 

その頃、岸田首相はプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と相次いで電話会談をしています。なぜ首相は急いだのか、といえばG7緊急会合があるからでG7の中でウクライナ問題で日本は積極的に関与していないと思われているので「僕も頑張っています」というパフォーマンスが必要でした。ただ、欧米のスタンスは極めて論理的かつ戦略的です。「今、西側諸国はロシアに厳しい経済制裁を加えようとしている中でオタクの外務大臣はロシアと経済協力をまい進させる二枚舌外交かね?」というわけです。

日本の外交姿勢は「敵を作らない」とされます。唯一の例外が韓国で、中国は嫌だけどデカい国だから波風を立てないようにしています。では、全天候型外交は威力があるのか、といえば私はない、と考えています。例えば安倍元首相がトルコのエルドアン大統領と再三会談し、原発受注と共に政治的な「第三国介在役」を買って出ようとしました。結局、原発はコストが合わず断念、第三者介在役も思惑外れでした。今、ロシアはウクライナの領土を取ろうとしているのに「平和条約結んで北方領土返してね」という全天候型が正しいのか、小学生でもこの答えは分かると思いますがね。

居酒屋に行かなくなったボク

ボクは外食が当たり前の社会人生を送ってきました。なのでコロナ禍の2年間も打ち合わせなどで週2-3回は外という生活が続きました。ただ、以前から外食してもおいしい店は少ないし、ボクは一食たりとも無駄にしたくないという食道楽でもありません。なので「主食」のビールがあれば基本、何処でもよく、近所の飲み屋のビールとバーガーは王道の組み合わせです。そしてすっかり足が遠のいたのが居酒屋です。

サラリーマン時代、渋谷の大衆居酒屋でワイシャツの腕まくりしてでかい声で楽しい時を過ごしたあの活気はドイツやスペインの飲み屋にも似たものがありました。ところが居酒屋にも個室やブース席が増え、いわゆる「ワイガヤ」を居酒屋自体が否定してきたのがこの10年です。居酒屋=大人版デパートお好み食堂は消え去る運命でしょうか?ちなみにTBSの報道ではコロナで日本の居酒屋は上場14社だけで18.8%、1356店減ったそうです。それ以外に自主廃業したビジネスはコロナもあり、年間4-5万件もあります。少なくない数の個人営業の居酒屋もシャッターを閉めたことでしょう。

もう一つ、「飲むこと」がマージャン、ゴルフと同様、時間がかかる行為と捉えられるようになりました。かつて2軒、3軒とはしごしたけれど今、考えれば究極的な時間の無駄。午後6時からその日、寝るまでの5-6時間が奪われるのです。時間浪費とされるゴルフやマージャンと何も違わないです。ボクが最近気がついたことは家飲みでも量がかなり減ったことです。理由は「酔っぱらっているほど暇じゃない」から。とすれば、ボクは何を楽しみにしているのか、村上春樹さんに聞いてみたいですね。ボクの時間は何処に吸い取られるのでしょうか?

後記
試験2題。秋篠宮家の悠仁さまが筑波大付属高校に合格しました。5年間の時限措置である提携校進学制度で実質書類選考でパスとされます。事実は知りませんし、私は悠仁さまの学力も知りません。が、筑波大付属がいかに難関はよく知っています。一応正規ルートですから私が望むのはクラスの高いレベルにしっかり啓蒙されて上を目指してほしいことです。もう一つの試験は小室さんの来週の司法試験。落ちれば日本帰国か、という報道もありますが、そんなことはないでしょう。嫁さんがビザを申請すればアメリカは気を利かせてすぐにビザを出してくれますとも。アメリカは嫁さんのステータスは大好きですからね。でも、小室さんにも頑張ってもらいたいです。合格祈願!

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年2月19日の記事より転載させていただきました。