田辺三菱製薬のカナダ子会社、メディカゴが開発していた植物由来のコロナワクチンがカナダで承認されました。カナダではこれで6つ目のワクチン承認で十分すぎるほどの選択肢があります。それでも先日のようなコンボイ問題は起きます。一方でワクチンに極めて強い抵抗を示している層の一部からは植物由来ならいい、という声もあり、ワクチンの普及に期待がかかります。日本では夏ごろの承認となりそうですが、さて、その頃、コロナがどうなっているか、これは誰も予想できません。
では今週のつぶやきをお送りします。
市場は読み合い。株価を揺るがす要因はまだまだ多い…
北米市場の木曜日以降、市場はまるで台風の目に入ったような「好天気」に恵まれました。特に理由はなく、ダウの場合は木曜日、朝方800㌦以上下げていたのに終わってみればプラス圏で金曜日は更に800㌦以上の上げです。終日、ウクライナ問題が何らかの形で報じられていますが、時差の関係から北米市場が開いているときは現地からの情報は限られるため、「ニュースの消化」にいそしむ形になります。但し、絶対的に言えるのはウクライナはアメリカから遠い、なので直接的影響は軽微なものに留まる、ならばなぜ、株価が下げなくてはいけないのか、というのが数々の報道の消化後の結論でした。
ただ、私は別にウクライナ問題は市場の主役になるとはほとんど思っておらず、主役はやはりコロナとその経済回復、需要と供給のアンバランスだとみています。よって次回のFOMCでアメリカは利上げを決めると思われますが、その際の声明が最大の主役であることはいまだ何も変わらないのです。むしろ、ウクライナ問題で株価が大きく下げるも、インフレ懸念がくすぶる中、利上げ強気派をパウエル議長がどう抑え込むか、ここが着目点でしょう。
世界経済は確実に戻り歩調を辿ります。その際、資源や半導体の供給が全く十分ではないことに更に拍車がかかるかもしれません。私どもは日本から船便貨物を入れていますが、今、平均50日以上かかります。これはコンテナ積みしてからコンテナを降ろすまでの日数でその先の通関などの日数は入っていません。数か月前は25日でした。平常時なら20日もかからないのです。爆発する消費にすべてが後手状態である中、金利を上げても効果があるのか、これも、誰にも予想できません。
戦争はもうすぐ終わる ウクライナ情勢
ウクライナ情勢ですが、私見で申し訳ないですが、もう数日以内に停戦になるとみています。そもそも今回はロシアの一方的な侵攻/侵略です。ウクライナもそれなりの戦力がありますが、戦っているとも思えないのです。確かにロシア相手ではまともな戦いはできず、制空権はとられたわけで抵抗しようがなく、結果が分かっていた戦いです。
実際にハイレベルの停戦に向けた協議が行われる算段が進んでいます。ロシアの最大の敵はゼレンスキー大統領で、何らかの理由をつけて拘束するとみています。そして政権を交代させ、親ロ派の国家づくりをするでしょう。ロシアの傀儡国家です。ここはプーチン氏が絶対に譲れないところでグルジアへの予防線でもあるはずです。とすれば以前から申し上げている通り、戦争行為は間もなく終わり、市民はその後片づけに追われ、先行きが読みにくい時が来ます。今回、プーチン氏はかなり強引でしたが、中国も香港でほぼ同じようなことをしたわけです。体制の色の塗り替えです。
問題は場外戦です。そして最大の注目はプーチン氏はその権力の座に留まることが可能なのか、です。私はプーチン外交をそれなりに20年以上見てきた中でこのところ、彼は性格が変わった気がしています。強情で誰の言うことも聞かない裸の王様です。プーチン氏がマクロン氏やラブロフ外相とあの6メートルの長さがある会議テーブル越しで話をします。心理的に身の安全を確保している行動でしょう。その会談の様子は滑稽を通り超えています。私はプーチン氏の時代は長くないかもしれないと思っていますが、しかし、ここは本人を含め、誰にも予想できません。
独身子供なし、これは今のトレンドなのか、社会悪なのか?
速報値ベースで21年の日本の婚姻数は51.4万組で前年比4.3%減、出生者数は84.3万人で前年比3.4%減となりました。コロナで結婚、出産どころではないということはあったのでしょう。この傾向は東アジアの全ての国、地域で同じで、日本だけの特殊事情ではありません。一般的な流れでは日本は結婚しないと子供が出来ません。フランスのように結婚してない両親の元の子供が珍しくない国のようにはいきません。
なぜ、結婚をしないのか、と私のような年代の人間が言うとお節介と思われるのが関の山。そこで私の周りにいる日本人若者の様子をそーっとのぞき見するとそもそも恋愛感情が相当薄くなっているように見えます。直接本人に聞けば「そりゃ、彼女(彼氏)欲しっす」と言いますが、言うだけで行動に移さないし、その気もありません。日々、仕事をし、一定の自由を謳歌し、自分だけの時間とお金を楽しむライフがもう当たり前のように定着しています。30年前なら「早く結婚して子供作って幸せな家庭を築きたい」という結婚式場の宣伝文句のような常套句は普通でした。
最近結婚した知り合いはお決まりのコースで家を買い、共働きでせっせとローンを払い、外食には行かず、独身時代と比べれば耐久生活を余儀なくされます。飲みにも行けず、夫婦でお互いにけん制し合います。相方のLINEをのぞき見して裏切り行為のチェックをしてまで結婚するか、という悪しき慣習もあるのでしょうか?最後に、家族会議で「僕たち、まだ収入が十分ではないから子供はもう少し先にしよっか?」という究極の選択をします。こんな社会が続けば日本の未来像はどうなるのでしょうか?これだって、誰にも予想できませんよね。
後記
週末にアニメ・コスプレの大型イベントに視察に行きました。私のようなおっさんは会場では珍種です。ビジネスの一環で市場調査で行ったわけですが、思ったことは人は何かに憧れ、実在しない別の理想の自分を作り続けるのだと。今年はメタバースでアバターという自身の分身キャラが「本格的な普及期」になるわけですが、さて、私のアバターは何だろう、と思った時、アニメヒーローにはおっさんおばさんはあまりいないのですね。これ、アバター普及には大きな障害になるかもで、メタバースもまだまだどうなるか、これまた誰にも予想できないのです。ん、待てよ、ウルトラマンがいるじゃないですか!おっさん達のヒーロー、忘れていました。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年2月26日の記事より転載させていただきました。