ロシアのウクライナ侵攻にロシア産品ボイコットで対抗しよう

五十嵐 直敬

ロシアがウクライナに侵攻しました。市民も死傷者が出ているようです。国境なき医師団はロシアの攻撃が増す中、やむなく退避したとのこと。生命を護り幸せをもたらすべき医療職として、悲しむほかありません。

LumiNola/iStock

我が国の対応が今一つ毅然さに欠ける今、我々市民一人ひとりにできるウクライナ支援とロシアへの断固たる反対意思表示は、ロシア産品ボイコット「飯レジスタンス」です。

ロシアはウクライナでは少数派のロシア人が攻撃されたから保護するためだ、と主張しているようですが、捏造フェイクニュースの自作自演という疑惑もあります。確実な事実はロシア軍がウクライナの主権を蹂躙し、破壊と殺人を行っていることです。邦人の20歳の留学生までも地下シェルターに避難し耐えていると報道されました。国際社会はロシアへの制裁に協調しつつありますが、既に各種制裁が行われてきており効果に限界がある とも言われます。

特に米国はウクライナがNATO加盟国、あるいは我が国のような同盟国ではないため軍事介入をためらったようですが、ロシアはそれに付け込んで暴虐をはたらきました。憲法で専守防衛が定められた自衛隊は何もできませんし、集団的自衛権も対象外、武器供与も防衛装備移転三原則によりできません。ではただ手をこまねいて傍観するしかないのでしょうか。

ロシアは広大な国土を持ち、寒冷ながら天然資源に恵まれています。我々日本人は特にその水産資源の恩恵を受け、その取引でロシアに多額の貿易黒字利益を与えています。すなわち水産物の2019年の輸入額は11億4,600万USドル。我々市民がロシア産水産物をボイコット、不買運動することでそれを減じ、ひいてはロシアの軍事活動の原資を削ることができます。関連業者への影響や小売価格の多少の上昇はあり得ますが、フェアトレードを考えれば侵略国家を利してはなりません。

すなわち我が国がロシアから大量に輸入しているカニ、サケ、マス、イクラ、タラ、タラコ、シシャモ、ニシン、数の子、ウニ等を買うときは産地を確認し、ロシア産であれば購入を控えましょう! それが我々市民一人一人がロシアの侵略行為にNOを突きつけ、ウクライナを後方支援することにつながるのではないでしょうか。

Youtubeで音楽を聴いていたら、ウクライナの首都、キエフバレエ団の「花のワルツ」が目に留まりました。ロシアの偉大な作曲家、チャイコフスキーの代表作「くるみ割り人形」の代表曲にしてクライマックス、まさに花のように優雅。ウクライナそしてキエフはロシア文化の原点なのだとか、そして偉大なピアニスト、ウラジミール・ホロビッツの故郷です。ホロビッツの弾く「英雄ポロネーズ」は圧倒的でしたが、今は草葉の陰で倒れたウクライナ兵士のために熱演しているのでしょうか。

ウクライナは東北大震災での福島原発事故に際しチェルノブイリ原発事故の経験から福島に支援と連帯の手を差し伸べてくれた友邦、そして日本人男性と結ばれ来日し神道の神主となったウクライナ女性も居ます。地球の反対側のウクライナと我が国は、確かに結ばれています。我が国も大陸半島の国家のさまを考えれば、対岸の火事ではありません。

美しい文化の国ウクライナに一日も早く再び平和が訪れる日のために、一人一人が身近にできることを考え、成しましょう。

 

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