ロシア人の多くも、加害者ではなく「被害者」

ロシアのプーチン大統領によるウクライナ侵攻は、国家の領土と主権を力によって奪い取ろうとする世界秩序を乱すもので、決して許されてはいけない行為です。

報道では、「ロシア=悪」「ウクライナ=善」というわかりやすい構図で語られていますが、悪いのはロシアではなく、ロシアの軍事侵攻を決めた指導者たちです。

denizbayram/iStock

多くのロシア人は、北朝鮮や日本のようにメディアコントロールされており、ウクライナで起こっている真実を知りません。

一部のロシア人もSNSなどから事実を知り、ロシア政府に対する国民の反発が広がっています。

ロシアだけではなくベラルーシでも抗議活動が広がっているようです。ロシアではモスクワやサンクトペテルブルクなどの主要都市でも反戦デモが起き、数千人が当局に拘束されていると報じられています。

プーチン大統領にとって、一番気になるのは今回の軍事侵攻に対する国際世論ではなく、国内世論の動きです。

大義なき派兵に自分の家族や友人が巻き込まれ、多くの犠牲が出たことをロシア国民が知るにつれ、暴力的な指導者に対する反発がロシア国内でも広がる。プーチンが恐れている展開です。

経済制裁による国内経済の低迷により、反戦感情がさらに高まれは、反発は更に強まります。

日本経済新聞によれば、サンクトペテルブルクでは、欧米の経済制裁を受けて、銀行に預金の引き出しにやってきたロシア人が長い列を作っています。ロシアルーブルは市場最安値まで下落し、自国通貨を売って米ドルなどの外貨に切り替えようという人たちのようです(画像をブログで見る)。

ロシア人の中にも現実を知り、プーチンの手法に心を痛め、怒りの感情を持つ人がたくさんいるのです。

自己の利益のために、手段を選ばず人を犠牲にする指導者が、絶対に許されない世の中にする。

今回の件だけではなく、これからの世界の安定と平和を守るために、ロシア人とも力を合わせていくことが重要だと思います。

多くのロシア人は、加害者ではなく、彼らもまた被害者であることを忘れてはなりません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年2月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。