昭和バブル世代に必要な「パラダイムシフト」

Wako Megumi/iStock

私は、社会人になりたての20代にバブルを経験した「昭和バブル世代」です。

あれから30年以上が経ちましたが、いまだに当時の価値観を引きずっている同じ世代の人たちがいてビックリします。

例えば、当時は大手企業に入って終身雇用されるのが当たり前で、年功序列が根強く残っていました。

年上は尊敬すべきという価値観です。私のいた銀行でも「何年入社」という年次がとても大切で、年次が上か下かで対応が変わるのが当たり前でした。

確かに、年配者の知恵は一聴に値することもありますが、単に生まれた年が早いだけでリスペクトする気にはなれません。

歳とともに魅力的になっていく人もいれば、単なる迷惑な年寄りになってしまう人もいます。自然年齢は、もはや人間を判断する基準にはならないのです。

また、当時はまじめに続ければ報われるという「努力至上主義」も根強くありました。1つのことを我慢してやり遂げよという価値観を押し付けられたものです。銀行から外資系に転職するときには、周囲から大反対されました。

しかし、今では転職は当たり前。新しいキャリアにチャレンジする方が支持されています。

まじめにやることも大切ですが、遊ぶように仕事をする方が、良い結果になったりする。こんな考え方も当時は認められませんでした。

そして、金融業界にいたせいかもしれませんが、よく「ヘラヘラしながら仕事をするな」と怒られたものです。これも今や、仕事の価値はしかめっ面でやる労働集約的なものではなく、クリエイティブにこなす知識集約的なものから生まれることが理解されるようになりました。ヘラヘラと楽しく仕事をした方が、むしろ成果がでるということです。

更に、お金との付き合い方も「貯金せよ、借金するな」という教えから、資産運用が当たり前の世界に変わりました。

本業の仕事で成果を出すよりも、資産運用を成功させ、FIREすることを目標にしている若者の方が多くなっています。

他にも、今までの当たり前が、当たり前で無くなったことはたくさんあります。

こんな変化を経験すると、既存の価値観や固定観念に縛られず、変化に対応できる柔軟性を持ち続ける。それが、年を重ねていく我々バブル世代にとって、これから必要な資質に思えて仕方ありません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年3月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。