ポストコロナとコロナ禍のアジア

現在のオミクロン株は末期に入ってきたように感じますが、地域により見事に状況が違っています。欧米は数字の上では収束に向かって着実に改善が進む一方、アジアは日本がいち早くピークアウトしたものの新規感染者数の減少数はゆっくりとしたペースです。また、アジア全般を見渡すととんでもなく悪化しているところも見られます。

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お隣、韓国では3月18日には新規感染者40万人と世界でも最悪水準となっています。20日は33万人台となり、専門機関のピークアウト予想はほぼ的中しているようです。感染者急増していたベトナムでも先週は26万人ほどまで増え、ピークアウトが見えそうな状況です。これから相当悪化しそうなのが中国本土でロックダウンがあちらこちらで起きそうな状況です。また、比較的上手にコントロールしてきた台湾に上昇の兆候が見られ、ひょっとすると爆発的感染が起きるかもしれない状況です。

カナダではほぼ平常状態に戻っていますが、無症状の潜在的感染者は相当数いるはずで、それをあえて見つけ出そうとしていない、というのが正直なところです。ドライな考え方かもしれませんが、見えないものは掘り起こさない、という感じでしょうか?それが結局、抗体の壁を作ったのかもしれません。アメリカも同様で日本よりはるかに少ない新規感染者数というのは考え方やアプローチ方法が違う点もあるかと思います。

一方、中国のように政策的にロックダウンを繰り返し、「無菌室」のような状態を作ろうとしても菌はおのずと入ってくるためいたちごっことなり今後、中国政府の対応はかなり苦労するのではないかと思います。うまくやってきたシンガポールも2月下旬にかけて感染者が急増、結局、どの国も一度はオミクロンピークを経験せざるを得なかったのではないか、とみています。

さて、日本は入国制限を大幅に緩和したこともあり、外国人の入国に沸いています。私が経営する東京のシェアハウス事業でも外国からの問い合わせが急増しており、「4月頃に日本にいく」という待ちに待った人たちの大きな動きが見て取れます。

併せて日本人の移動も始まっています。コロナ禍で2年ほど、引っ越しを控えていた層がようやく動けることで通常の3月の引っ越し時期とは違った展開が見込まれています。人が動くことは経済に直結することですので個人的にはよい傾向だと思っています。

リモートワークについてはその便利さと移動しなくてもよいというメリットは今後も享受する展開となる一方、会社としては出社が原則になるとみています。2年間リモートワークを進めた結果、企業として長所短所の分析が進んでいると思いますが、リモートワークでも耐えらえる性格の人とそうではない人がいることは明白です。私の周りにも「1日中、家で仕事しているのは耐えられない」という人は相当増えています。

「通勤は悪か?」という議論があります。私の結論は30分から1時間ぐらいの通勤はむしろ作業効率や日々の生活のメリハリが高まる、であります。理由は仕事を家庭に持ち込まないというそもそも論なのです。家庭とは家族と過ごすところ、あるいは自分の時間を大切にするところ、会社は仕事をするところという区分けがあればこそ、人々は「よし、これ終わったら飲みに行こう」とか「帰りに行きたかったお店に行く」「友人と会う」という行動と共に気分転換が図れるのです。つまり、通勤はオンオフを切り替える重要なスイッチであって家から一歩も出ない生活が健全なわけがないというのが私の持論です。

私の事務所が入居するバンクーバーのオフィスビルも明らかに通勤者が増え、エレベーターの中で「昼、何食べようか」というコロナ前の会話が聞こえるようになってきました。人々はマスクから解放されつつあります。欧米ではマスクは非常に嫌われ者だったのはご存知でしょうか?理由は欧米における会話とは口から発する音で行うだけではなく、顔の表情でしゃべるからです。ところがマスクをするとこれが見えにくくなるため、その発する言葉のニュアンスが伝わりにくいという問題があったのです。

その点、今、人々はマスクから解放され、本当に生き生きとしている、これが私のみるカナダの状況です。

日本語はその点、顔の表情で会話をする言語ではないので引き続きマスク顔が続くのかもしれません。またアジア地区、特に中国、韓国の感染急増は日本との往来に於いて極めてリスクが高いわけで両国のコロナ終焉をしばし待つことになりそうです。平常時は中韓で日本入国者の半数以上を占めるわけですからしばらくすれば爆発的な入国者ブームが再来するというのが私の予想する今後半年から1年の日本です。

もちろん、新たな変異株が爆発的に発生しないという前提ですが、私にはようやく春が来る、という期待感が高まっています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年3月21日の記事より転載させていただきました。