2022年3月19日、クーニン教授の「unsettled」の待望の翻訳本が配本されました。
スティーブン・E・クーニン (著), 杉山 大志(解説)「気候変動の真実 科学は何を語り、何を語っていないか?」
この翻訳本では、冒頭に「日本語版発行に寄せて」として、日本へのメーッセージも記されています。それによると、日本の世界全体に対するCO2排出割合はわずか2%なので、日本がカーボンゼロにしてもほとんど世界には貢献できない。
それよりも、日本は、全世界に展開可能なCO2低排出エネルギー技術(例えば、超高効率の石炭火力)を開発・実証し続けることで、世界に貢献できる。そして、あらゆる種類の災害に備え、そこから復興する、高度な都市文化社会の日本は、その「適応」を戦略とすべし、と檄を飛ばされています。
よく「日本の石炭発電技術は世界をリードしている」と言われます。そして、今現在石炭火力で主流のものは「超々臨界」と呼ばれています。今回の動画では、「超々臨界」に関して易しく解説してみます。
資源エネルギー庁:非効率石炭火力発電をどうする?フェードアウトへ向けた取り組み
では、5種類の石炭火力発電の方式を紹介しています。
「石炭火力発電には、いくつかの発電方式があります。石炭火力発電で主に利用されているのは蒸気タービンのみで発電する方式で、この蒸気の温度や圧力を上げることで、発電効率が上がります。一般的には、「亜臨界圧(SUB-C)」→「超臨界圧(SC)」→「超々臨界圧(USC)」と効率が高くなっていき、現在の日本では「超々臨界圧(USC)」が石炭火力の主流となっています。その発電効率は世界トップレベルです。
また、石炭をガス化して燃焼させる「石炭ガス化複合発電(IGCC)」は、ガスタービン発電と、そこからの排熱で発生させた蒸気を利用する蒸気タービン発電の2つを組み合わせたもので、より高効率の発電ができます。このIGCCに、さらに燃料電池を組み合わせたトリプル複合発電方式も開発中で、「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」と呼ばれています。現在は広島県の大崎上島で、2022年の実証実験開始に向けて準備が進んでいます。」
IGCCとIGFCは前に解説動画を作成していますので、以下の動画をご参照ください。
【オンライン授業-18】J-POWER若松総合事業所で石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の凄さに豪州工学部学生達も度肝を抜かれる。新コロンボ計画体験記(その2)
資源エネルギー庁のHPでも述べられている通り、日本の超超臨界石炭火力発電の効率は世界トップレベルです。なぜなら、超々臨界を利用したイノベーションは日本発だからです。
超々臨界ってなんでしょうか。
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動画のノギタ教授は、豪州クイーンズランド大学・機械鉱山工学部内の日本スペリア電子材料製造研究センター(NS CMEM)で教授・センター長を務めています。