なんで10年前にそれを言わなかった、日本経済新聞?

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最近になってやっと日経がまともな経済政策批判をしています。までもアベノミクス、黒田日銀体制で10年です。出し遅れの証文にすぎません。

アベノミクス、黒田日銀大勢をもっと日経ら経済メディアがまともに検証批判していたら、今の日本経済の惨状はありえなかったでしょう。

経済曇らすピンボケ政府試算 ズレ大きく成長戦略空回り

政府の経済見通しや財政試算のピンボケぶりが一向に改まらない。成長率の実績とのズレは他の先進国の倍近い。土台があやふやなため成長戦略や財政健全化の議論も空回りする。政府から独立した機関が推計を示す海外で一般的な仕組みが日本にはないのが問題だ。

成長率が名目3%、実質2%というシナリオに政府内ですら疑問の声が絶えない。高成長の見通しは、技術革新などを反映する「全要素生産性」がバブル期並みに伸びることを前提にしている。

02年度以降、名目成長率が3%を超えたのは15年度のみ。マイナス成長だった年も6回ある。

比較可能な1999~2016年度の実績をみると、独立財政機関を持つ欧州連合(EU)加盟国の実質成長率見通しの誤差の平均値は0.28ポイントだった。日本は0.48ポイントで倍近いズレがあった。第2次安倍政権以降の13~19年度の誤差は0.77ポイントに達する。

日本は21年度末に国債残高が1000兆円を超える見通しだ。毎年のように大規模な補正予算を組み、財政を大盤振る舞いしてきたツケだ。

こんなことは前から分かっていたわけです。日本政府や行政の出す「バラ色の未来」を想定した報告の類は始めに結論ありきで、それに沿って書かれます。それはここ数年始まったことではない。

防衛省でいえば、空自の救難ヘリがその典型例です。45億程度する既存のUH-60Jの改良型にも関わらず、競争入札で、23.75億円で調達、としていました。実態は2倍以上です。

もともとこういう数字をメイクアップする傾向があったのに、第二次安倍政権ではGDP含む各種統計が改ざんされました。

併せて翌年度予算と当年度の補正予算が一体化して、本来本予算で要求するべき予算を補正に流すことで、本予算を過小にみせかける世論操作をしてきました。また補正を使えば本読さんより緩く予算を通すことができます。財政規律は緩みまくりです。

その共犯者が日経含めた記者クラブメディアです。

この件を執拗に追求しているのはぼくぐらいではないでしょうか。

アベノミクスという名の詐欺。

黒田日銀10年目のジレンマ 悪い円安、流出する国富

「有事の円」に異変が起きている。2008年9月のリーマン・ショック時は、約3カ月で1ドル=106円程度から87円程度と20円近く円高になった。

銀行の為替担当者は「貿易赤字で日本企業のドルが不足しているためだ」と口をそろえる。石油や食糧はドル取引が基本。資源価格の高騰で、1月の日本の経常収支は2カ月連続の赤字となり、その幅も1兆1887億円と過去2番目の大きさだった。22年は通年でも1980年以来の赤字になる可能性がある。

為替相場の構造変化は日銀を不安にさせる。経常赤字国の通貨はブラジルやトルコのように売られやすくなるからだ。

「円安が経済・物価にプラスとなる基本的な構図は変わっていない」。日銀の黒田東彦総裁は18日の記者会見でそう指摘し、金融緩和の縮小も強く否定した。米国に続いて英国も17日に3会合連続の利上げを決めた。悪い通貨安を止めるには緩和縮小が手っ取り早いが、日本経済にはその耐性がない。

2021年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比0.4%増えたが、実質国内総所得(GDI)でみると逆に同2.1%も減った。国内生産と国内所得の落差は、円安と資源高によって富が海外に流出していることを示す。

これまた第二次安倍政権以前の安倍晋三のいうアベノミクスの欠陥は分かっていたはずです。ぼくはブログで当時から問題を指摘していました。

インフレになったら、景気が良くなるのではなく、景気がよくなるからインフレになるわけです。それは個人の所得が増えて需要が増大するから、企業はより物が売れ、利潤も載せられるわけです。

100人の村で週に1個全員が1個づつりんごを八百屋から買っていたとしましょう。それがみんな給料が上がって、もっとりんごを食べたくなった。でもりんごの供給数は決まっている。であれば1個100円だったりんごを120円にして2個も、3個も買いたい人がでてくるでしょう。だから値上げができます。

もう一つは100人の村に新たに100人の人口が増えた。であれば一ヶ月200個のりんごが売れるようになった。業者の売上は単純に2倍です。その両方が重なれば、経済は大いに潤うわけです。それがかつての高度成長期でした。

円安誘導で単に生産や仕入れコストが上がったからといって、それを消費者が買いまくるわけがありません。物価があがり、さらに消費税と社会保障費負担がふえて、実質的な所得は減って、それでガンガン消費する人は準禁治産者だけです。

こういう理屈は誰で高校生レベルの知性があれば誰でも分かるはずです。それを「経済の専門家」は小理屈をこねて、絶対景気が良くなると言っていたわけです。そして10年が経ちました。所得は減って景気が悪くなる一方です。

円安によって輸出が増えるのだという理屈もありましたがこの10年で増えておりません。単に輸出企業の利益が円換算で100円が、120円とかになったわけです。ある意味不労所得です。輸出自体が増えた利益ではない。

それでも輸出が儲かるならば今の円安を政府は歓迎すべきだし、ガソリンの公費負担なんてやる必要はないでしょう。

今政府がやるべきことはアベノミクスと黒田日銀への検証と批判、否定です。

ぶっちゃけた話日経について言えば、所詮株屋の新聞に過ぎません。円安誘導と日銀のインチキ相場で株価が上がれば、それでいいというのが同社のスタンスでしょう。そういう胡乱な媒体を信用してはいけません。日経で読むべきは終面の文化欄と広告だけです。

【本日の市ヶ谷の噂】
防衛省ではDII(防衛情報通信基盤: Defense Information Infrastructure)を使用しているが、外部からのウイルス感染防御能力との兼ね合いからアクセス可能なウェブサイトは大きく制限されている。研究職は研究に必要なカタログなどの閲覧も出来ない。学術学会へのweb参加も出来ない。このため自宅から職場のパソコンへのアクセスも出来きず、コロナ禍の在宅勤務はただの”休暇”になっているとの噂


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2022年3月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。