パリ国立オペラ座バレエ。
早く着きすぎて、客席まだガラガラ。フォワイエをぶらり。夏時間になりすっかり日が長くなった。
イスラエル出身の話題の振付家(作曲家)。数年前にオペラ座で初上演した作品はピンと来なかったのだけど、今回は、結構好き!
UprisingとIn your rooms。舞台雰囲気、衣装、音楽、動きに共通点があって、アントラクト挟んで連作として一つの作品を見ているようにも。
知人が、”音楽の音量に辟易した”と言ってたけれど、うん、よくわかる。頭と五臓六腑をガンガン刺激する感じ。私の両隣は揃って、耳塞いでる。彼らはマスクで口も塞いでるので、顔の器官でちゃんと稼働しているのは目だけだ(笑)。確かにものすごい音楽(というか音)だけど、私は嫌じゃない。シェクターが作曲もしているからか、振付との一貫性というか共鳴感がちゃんとあって、なかなかいい。
振付も悪くない。ただ、同じような動きが多いので、最終的には飽きちゃいそう。偉いな、と思うのが、飽きる手前でちゃんと作品を終わらせていること。独りよがりの振付家だと、どんどん長くしてしまうだろうところを、25分と35分でまとめたセンス、好き。
照明が暗いのは、昨今の流行りなのでもう諦めてるけれど、それにしても、、、の暗さ(笑)。In your roomsの前半なんて、暗い上に紗までかけて、世界はぼんやり霧の中。ただ、照明自体の使い方はとてもセンスいいし、なんだろう、舞台的というか演劇的な光と影の使い方だと感じる。
そしてそこに時々、別の目を引く動きが飛び込んでくる。目を凝らして顔確かめると、アントナン・モニエ。
まだカドリーユだけど、2年くらい前、テス・ヴォルカーが、彼&カドリーユのマリオン・ゴティ・ド・シャルナセに振り付けたLa tete dans les nuagesでの動きがかなりよくて、へ~って思ってた。
今回、二つの作品で、シモンに負けず劣らずの見事な動き。腕の使い方、好み。
思った以上に(期待値低かったから)楽しい公演。オレリーも見に来ていて、前半後半ともに満足げに裏に去っていった。
会場、マスク率1割強の上、咳する人がとても多いのにはドキドキ。1時間半の短いプログラムでよかったかも。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々4」2022年3月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々4」をご覧ください。