渋谷を始めとする商業地でファッションビルを展開するパルコ(PARCO)が、レジデンス事業に新規参入するとプレスリリースしました。
具体的には、名古屋や横浜などで賃貸マンション事業を開始し、分譲マンションも大手不動産会社と組んで始めるとのことです。
パルコは、以前は西武セゾングループでしたが、今は大丸や松坂屋と同じ百貨店グループへ吸収されています。
昭和世代には、おしゃれなファッションブランドイメージがありますが、パルコの事業はそもそも商業施設の提供が中心の不動産賃貸業です。
それと並行して、エンターテイメント事業やコンテンツ事業も展開し、高いブランドイメージを作り上げてきました。
コロナ禍でわかったのは、商業用不動産はリスクが高いということです。そこで、リスク分散の観点から目をつけたのが、同じ不動産のレジデンス事業です。
商業施設に賃貸するよりも、居住者に住居を賃貸する方が、安定した収益が得られると考えたのです。
今回の新規参入は、パルコというブランドイメージにはマイナスかもしれません。居住用住宅を賃貸する「不動産大家さん」というのは、パルコのイメージとは真逆の地味でパッとしないイメージだからです。
今後、レジデンス事業が軌道に乗れば、パルコの不動産会社化が一段と進む可能性があります。
西武セゾングループ時代の時代の先端を切り拓く若者のリーダーのような尖った会社から、地味だけど安定した収益が得られる会社へ。
事業戦略としては正しい方向だと思いますが、時代の終わりを象徴するような出来事で、なんだか少し寂しい気もしました。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年4月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。