自治体と一緒に政策を進めるコツ―予算のプロセス―

政策を実行しているのは国だけじゃない

この連載では、国の政策形成過程について解説し、政策を実現したい人のサポートをしてきました。日々のニュースで取り扱われる政策テーマは国に関するものが多いですし、確かにインパクトも大きいのですが、もう一つ重要な政策実行の主体である自治体についても理解しておく必要があります。

da-kuk/iStock

政策を変えていくためには国との協働も重要ですが、自治体への働きかけも同様に大事なのです。というのも、自治体がその気にならなければ動かない政策はたくさんあるからなのです。

例えば国の予算を見てみると、こんな記載を見つけることができます。

(例)
○○支援事業
【実施主体】 都道府県
【補助率】 2/3

以下の厚生労働省老健局の予算などが一例です。

これはどういうことかというと、

-国は○○支援事業で社会課題の解決をしたいと思っています。
-3分の2のお金を出すので、残りの3分の1を都道府県で出して○○支援事業を実施してくれませんか

という国から自治体に対する申し出のようなものです。

この申し出があると、自治体としては持ち出しのお金が減るわけなので、「前から必要だと思っていたので○○支援事業をやってみようかな」という気持ちになるわけです。

ただ、このタイプの予算はあくまで自治体を動かすために国が作ったインセンティブの側面が強く、自治体のマンパワーや予算編成の問題などで実施されないこともあります。

つまり、全国でよい政策を進めたいと考える方は、この国の補助金があるケースの場合であっても、自治体がその予算を活用するように働きかけをする必要があるわけです。

また、国単位では重大な課題になっていなくても、地域の事情などにより、国に先行して、自治体が独自に政策を実施した方がよい場合もあります。

国と同様に自治体への政策提案も政策をよくしていくためには重要になってきますが、やはり働きかけをする前には相手をよく知ることが必要です。

  • 予算がいつ決まるのか
  • 予算の内容を考えるのは誰なのか
  • 政治家や、役所の職員以外が政策に関わるためのコツ

などについて、これまで私たち千正組が自治体への政策提案に関わってきた経験や、自治体幹部経験者へのヒアリングを通して確認したファクトを踏まえて、自治体への働きかけのコツを解説します。(4月中、2回に分けて掲載します)

(執筆:西川貴清 監修:千正康裕)

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編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2022年4月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。