「何もしなければ42万人死ぬ」は2年早かった

おさらい。どうして日本はコロナの被害が少なかったのか

わたし、先日、コロナ禍の終了宣言をしたわけですが、

上海の様子から、東京は第7波の心配はどうでもよいと推測する
上海は徹底して検査、隔離の無意味さを浮き彫りにした 上海市、初めて新型コロナの死者を発表 数万人の感染でロックダウン続く 高齢者施設に頻繁に出入りする霊柩車が報道されているのにコロナの公式の死者は3人というところが中国らしいが、日本...

日本はデルタまではファクターX、つまりHLA24という日本人独特のバリアに守られ【理研が証明してます】たため、感染者が非常に少なく抑えられて死者も少なかった。が、デルタ以降はこのバリアが突破され、オミクロンでは東京の感染率は推測で66%(陽性認定は100万人)という結果になりました。しかし、ワクチンの接種率の高さとそれまでに「効果のない馬鹿げた規制の下で」自然感染で得た免疫との合体で世界的にも少ない死者で済んでいます。

CHUNYIP WONG/iStock

東アジアはデルタまではかなり被害が少なかったのですが、おそらくHLA24突破されたあとはこのとおり。

日本ではアジアでも非常に人口あたりの死者が少ない。逆に見て欲しいのが、必死にゼロコロナを目指してロックダウンや厳しい規制を繰り返した香港やマレーシア、ベトナム、韓国などの国の方が結局は日本よりずっと死者が多くなった。ザルみたいな経済殺すだけの規制しかできなかった日本はそれが幸いしてラッキーなことに自然免疫もバランス良く得られた証拠です。

香港の飛び抜けた死者の数は、高齢者のワクチン接種率が48%しかなく死者の殆どは未接種の高齢者。高齢者のワクチン接種がどれほど大事かという証明になりました。中国は上海も高齢者は40%ほどしかワクチン接種をしていないため、中国政府はいまだ必死にゼロコロナ政策から抜け出せないのだと思います。

さて、この事例から高齢者のワクチンがどれくらい全体の死者を下げるか、というより高齢者にワクチンさえ打っておけばコロナは平気という事が分かると思います。最初から「コロナは風邪」などではなく、いまやっと「コロナは風邪」になったのです。

世界各国の例を見ても、ロックダウンも隔離政策もなにも効果はなかった。唯一効果があったのは高齢者へのワクチンの徹底と言えるでしょう。

もしオミクロンがワクチンもない最初から来ていたら(ロシアの場合から推測)

何をしても42万人死ぬ

ということになっていたはず。本日はそれを2方向から精査してみます。

まずは日本と人口がほぼ同じロシアです。ロシアの死者数は驚異的で

さきほどのグラフにロシアを入れるとマレーシアと香港がこんな程度になります。ロシアの死者数は日本と人口同じで37万4000人なのです!!

死者は昨年末からドカンと増え

どんな株だったのかと見ますと

紫系がオミクロンで緑がデルタ。昨年の12月あたりから日本より1ヶ月早くオミクロンが流行。デルタもありますね。コレを見るとオミクロンはけっして弱毒化していないのではないかと思いますが、ロシアは何が足りなかったのか

いまだ半数しかワクチンを打っていない・・・・しかもロシアでは自国製のスプートニクVしか認めていません。

NHKの解説
「ロシア 進まぬワクチン接種 40%の壁」(ここに注目!)
面白いのはココ

プーチン大統領は欧米との地政学的対立の中にワクチンを位置づけ欧米のワクチンの副反応を強調して、ロシア製の方が優れているとたびたび発言しました。これも逆にワクチン不信を強める一因となっています。

親ロシアのツイートをするアカウントの90%が反ワクチンだったというデータがありますが、いままで執拗に巧妙な反ワクチンデマを拡散していた有名アカウントが急に「ロシアは正しい、ウクライナは悪」というツイートばかりするようになって驚いた人も多いでしょうが、自分はもともと反ワクチンデマの多くはロシア発だと思っています。

●反ワクデマはスプートニクVについてはまったくなし。西側のファイザーとモデルナ狙い撃ち
●日本の10倍以上のロシアのコロナ死者については言及しない
●上海の事情や中国のシノバックについてはスルー

まあ、それはさておき、スプートニクVの効果も分からないし(たまにデータでますがかなりよろしくないです)、高齢者の接種率もわからないのだが、ロシアのワクチンがなかったら50万人とかそれくらいは死んだかもしれません。日本と人口がだいたい同じですので、日本も同様に死んだかもしれません。

もしオミクロンがワクチンもない最初から来ていたら(香港の場合から推測)

香港の死者はほとんどオミクロンです。

人口760万人香港の死者は9186人。1.26億の人口の日本と合わせると15.2万人です。日本の死者は4割のコロナ以外の死者を含んで29000人ですから桁が違います。

前述の通り香港の死者の殆どがワクチン未接種の高齢者と言われています。高齢者のワクチン接種率は48%だったそうなので、仮にこれがなかったとすると、ざっくりですが日本なら20~25万人くらいは死んでもおかしくないことになります。日本の場合、高齢者は3000万人以上いますので25万人亡くなっても0.8%にしかなりません。

以上、ロシアと香港の例から、仮にワクチンが無い時に最初から感染力の非常に強いオミクロンがやってきていたら、西浦関のいうとおりで誤差はありますが、25~50万人は死んでもおかしくなかったことになりますね。ただそれは繰り返しますが

×なにもしないと
○なにをしても

でありまして、オミクロンには人流抑制もロックダウンもマスクもほとんど効果がないのは上海が証明しています。

西浦関が笑えるほど外したのは●新型コロナの感染力を日本とドイツを同じとしたことで、デルタ以降になってファクターXであるHLA24の効果が失効して同じになったものの、それ以前は明らかに日本は欧米より感染がしにくかったということを全く考慮に入れなかったことです。つまり感染学の古い常識で突っ走ったからですね。西浦関が42万人死ぬと予言した時、ドイツと日本の人口あたりの新規感染者数は20倍も違っていたのです。だからきっといまなら当たりますよ。もうワクチンを高齢者が打っちゃったから意味ないですけど。

わたしと音喜多君、立憲の中谷さん、自民の藤末さんの新刊がでました。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2022年4月21日の記事より転載させていただきました。