「切れるおっさん」にならないために

切れやすい老人が社会問題になってから、ずいぶん時間が経ちます。特に年配の女性よりも年配の男性の方が切れやすい。「切れるおっさん」の方が「切れるおばはん」より多いように思うのですが、なぜでしょうか?

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脳科学的には、老人が切れやすいのは年齢と共に感情をコントロールする前頭葉が委縮するからと言われています。

かく言う私自身も、確かに以前に比べ感情的になることが多くなったような気がします。

そもそも、男性が怒りやすくなる理由の1つは、若い頃に比べて男性の方が社会の中で自己承認欲求が満たされなくなるからというのが、私の仮説です。

組織の中で管理職になって社会で活躍している40代くらいまでの男性が、50代に入り役職を外れ、若手に仕事を奪われ、リスペクトされなくなっていく。

専門的なスキルも持たず、社会から取り残されていく中で、不安と焦りが生まれます。

若手に昭和のバブル時代の武勇伝を語っても、もう誰からも相手にされません。

趣味の世界のような仕事以外の自分の生きがいが無く、働くことだけを真面目にやってきた人ほど、「自分マイナス仕事=ゼロ」ですから、ハシゴを外された気分になりがちです。

そんな状況がイライラとなってマグマのように積み重なり、何らかのトリガーで周囲に怒りを爆発させるというわけです。

また、怒りと共に、年齢と共に強くなる感情が、涙もろくなることです。私も以前だったら何の感情も起こらなかったことに、涙がこぼれてしまうことが増えました。

怒りにせよ、悲しみにせよ、自分で自分の感情がコントロールしにくくなっていくのは、老化なのかもしれません。

それを放置して感情的なままに行動すれば、周囲の人に迷惑をかけるリスクも高まります。特に怒りの感情は、後から後悔することも多いのです。

怒りの感情は、自分のやりたいことが自由にできる心安らかな環境を維持することで抑えられるような気がします。

だから、そのような環境に自分がいつもいられるように、努力していかなければならないのです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年4月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。