「紙対応」でも「神対応」してしまう日本人

内藤 忍

カンボジア・プノンペンから、バンコク経由で羽田に着きました。夜行便で予定よりも早く朝の6時前に到着です。

Chanh Dang/iStock

コロナ禍になってから初めての入国手続きでしたが、手続きが全て終わって空港から出るまでに2時間近くかかりました。羽田ではこんな手順で進みました。

  1. QRコード確認
  2. 書類等の確認
  3. 検体採取
  4. アプリのインストールチェック
  5. 質問票の登録
  6. 結果通知

帰国前にアプリで手続きが必要ということで、「MY SOS」というアプリをダウンロードして、カンボジアの陰性証明書を写真でアップして申請しました。ところが、ナゼか却下。理由はよくわかりません。私の周りにも同じ結果になった人がいたので、アプリに改善の余地がありそうです。

また、位置確認アプリの「ココア」も、登録作業が「電波状況が悪い」と何度やっても表示(画像をブログで見る)されました。原因を聞いてみると、どうやら海外のWi-Fiからは登録出来ない仕様のようです。何だかなぁの世界です。

デジタル化しているようで、どれも使い勝手が悪く、結局、手続きを進めていくのに頼りになるのは紙の書類でした。日本が得意の「紙対応」です。

そんな羽田空港では、朝早くからたくさんのスタッフが帰国者の手続きのサポートをテキパキと進めてくれました。新興国の手際の悪さとのあまりの対照的な対応に、感動すら覚えました。紙の書類とアプリを担当者が機転を効かせて巧みに使い分けていく、まさに「神対応」です。

「紙対応」で「神対応」というおっさんのダジャレのような展開でした。

しかし、こうなってくると、むしろアプリなどのデジタル化を中途半端にやるのをやめて、全部紙でやった方が良いのではないかと思うくらいでした。

帰国の前日にカンボジアで取得したPCR検査の陰性証明書を提出させたのに、また唾液検査。2時間かけてやる意味がよくわかりません。でも決められたことは文句を言わずきちんとやる。

日本の強さと弱さが浮き彫りになった、帰国時の約2時間の貴重な体験でした。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年5月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。