「親会社」を無視して暴走する「子会社」日銀

(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)

量的緩和に歯止めをかける「統合政府」の債務管理が必要だ

安倍元首相の「日銀は政府の子会社だ」という発言が話題を呼んでいる。これに一部の野党が「日銀の独立性を侵害するものだ」と騒いでいるが、これは安倍氏の持論であり、間違いではない。

日銀は政府が55%出資し、政府の独占する通貨発行権を執行する「認可法人」であり、政府の子会社といってもいい。むしろ問題なのは、独立性の強すぎる子会社が親会社を無視して暴走していることだ。

日銀は政府の子会社である

安倍氏の発言は、TBSによると、次のようなものだ。

1000兆円ある(政府の)借金のうち半分は日本銀行が買って回っています。日本銀行というのは政府の子会社ですから、返さないで借り換えていく。何回だって借り換えたって構わない。

これをマスコミが問題にし、立憲民主党や共産党が騒いでいるが、世界中どこにも政府から独立した中央銀行は存在しない。日銀は内閣が総裁を任命する政府機関であり、銀行という形をとっているのは、明治時代に多くの国立銀行が独自の通貨を発行していた歴史的経緯による擬制である。