FIREして不労所得の「大家さん」になりたいと思わない理由

投資によって生活に必要な資金を手に入れ、不労所得で生きていくいわゆるFIREは、株式市場が変調をきたしてからも相変わらずの人気のようです。ちなみにFIREとは、「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)」の略称です。

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FIREに関しては以前のブログ「若者よ!やっぱり「FIRE」はやめなさい!」で、楽観的なシナリオでFIREするのは、これからの長い人生を考えれば極めて危険だと指摘しました。

私自身も50歳になってから、国内不動産投資を開始し、不労所得が得られるようになりました。今や投資収益だけでも生活が成り立つようになりましたが、FIREしようとは思いません。

それは、将来の経済的なリスクが理由ではなく、FIREすると人生がつまらなくなると思うからです。

不動産のようなインカム型の資産は、購入時には手間がかかりますが、その後は管理会社に管理を委託すれば、手間はあまりかかりません。まさに不労所得で、楽と言えば楽なのかもしれませんが、私には単調で狭い世界に感じます。

保有する物件が増えれば増えるほど、その単調さが増していくことになり、新しい投資対象を調べたり、購入を検討するといった比率が下がっていきます。

国内不動産を保有している個人投資家の方を見ていても、何だかあまり羨ましいと憧れる気分になれないのです。

不労所得にだけ頼るのではなく、新しい投資対象やビジネスに好奇心を持って、様々な分野の様々な人たちと交流しながら、世界を広げていく。その方が、ワクワクして楽しく感じます。

FIREしてしまうと、社会との接点が減っていく可能性があります。家族との大事な時間を過ごしたいのなら、それは自由です。ただ、私には向いていないライフスタイルです。

不動産などから得られる不労所得は、自分が好きな仕事だけを選べるようにするための手段だと思っています。私にとっては、嫌な仕事を「断る力」を維持し、ライスワークではなくライフワークだけに関われるようにするために必要なものです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年5月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。