再び円安が加速し始め、6月7日の午前中時点では1ドル=132円台後半になりました。円安を阻止する要因は少なく、この流れが更に続く可能性が高くなっています。
アメリカでは失業率の低下から労働市場のひっ迫し、賃金が上昇するという流れが期待されているのに対し、日本では黒田日銀総裁が記者会見で賃金の上昇が本格的に始まっているとは言えないという認識を示し、金融緩和の継続を断言しました。
円安に関しても「急激な変動ではなく安定的な円安方向の動きであれば、経済全体にプラスに作用する可能性が高い」と事実上の容認をしています。緩やかな円安が進むのであれば、日銀としてはそれほど懸念していないということです。
日本でも大手企業の賃上げの動きがみられますが、賃上げの余力のない企業も存在します。
1ドル=100円の時の1000万円は10万ドルですが、1ドル=125円になれば8万ドルです。円ベースでは賃金がフラットでも、外貨ベースでは、賃金は下がっているのです。
いよいよ1ドル=150円という水準も現実味が出てきています。外貨を持たない日本人は気が付かないうちにどんどん貧乏になっていくのです。
海外に出かけた日本人が最近実感するのは、現地での物価の上昇です。インフレによる価格上昇だけではなく、円安によって円ベースでの現地価格が更に高くなっているのです。
円安になれば海外に行こうと思う日本人は減りはじめます。国内旅行の方が割安に感じられるからです。そして、外国人の入国規制が緩和されれば、割安な国となった日本に多くの旅行者が殺到することでしょう。
住居も日本、仕事も日本、資産も日本(円)、言葉も日本(語)という多くの日本人は極めて高い「日本リスク」を抱えています。
その中で最も簡単にリスクを切り離すことができるのが、資産を円から外貨にシフトされる資産運用です。
せめて、資産だけでも日本リスクから切り離すことを今からでも真剣に考えるべきです。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年6月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。